著者
原田 幹生 高原 政利 村 成幸 丸山 真博 大石 隆太 宇野 智洋 佐竹 寛史 結城 一声 鶴田 大作 高木 理彰
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.564-568, 2017

Lateral Scapular Slide Test(以下LSST)は,肩甲骨の位置を評価し,肩甲骨下角とその高さの脊柱との距離で示される.本研究の目的は,成長期の野球選手において,LSSTと関連する因子について検討することである.野球選手382名を対象とした(小学:185名,中学:133名,高校:64名).小中高の順序で,肩痛あり(26,29,44%),投球パフォーマンススコア(最悪0-100%最高)(80,79,70%)であった.LSSTは,小中高の順序で,投球側(7.8,8.5,9.5 cm),非投球側(7.8,8.4,9.3 cm),左右差(投球側と非投球側の差)(0.0,0.1,0.2 cm)であり,左右差が1 cm以上ある選手は(10,16,25%)であった.僧帽筋下部の筋力低下は,小中高の順序で,(23,58,45%)であった.LSST(左右差)は,中学生では関連する因子はなかったが,小学生では,投手,肩痛あり,および低い投球パフォーマンスと関連し,高校生では,投手と関連していた.LSST(左右差)は,小中高いずれにおいても,僧帽筋下部筋力と関連はなかった.
著者
原田 幹生 高木 理彰 村 成幸 丸山 真博 宇野 智洋 佐竹 寛史 鶴田 大作 結城 一声 大石 隆太 高原 政利
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.548-551, 2018

関節内インピンジメント(インピンジ)は,投球動作の肩外旋時に,腱板と後上方関節唇が接触し,肩痛を生じる病態である.本研究の目的は,中学野球選手に生じるインピンジの頻度を調べ,後方タイトネス(タイトネス)とインピンジの関係を検討することである.中学野球選手154名を対象とした.投球側の肩痛(なし0点-最悪40点)の平均点は8.0点(1~36)であった.タイトネスは59名(38%)であった.fulcrumテストとrelocationテスト陽性をインピンジとすると,12名(8%)に認められた.平均の肩痛は,いずれもなし(n=87):2.3点,タイトネス単独(n=55):3.6点,インピンジ単独(n=8):9.1点,両者の合併(n=4):26.0点であり,タイトネスとインピンジの合併は,他の3群に比べ,有意に高かった(p<0.05).インピンジにタイトネスが合併すると,肩痛が有意に強くなっていた.タイトネスのため,インピンジによって加わる腱板への圧力がさらに増大し,肩痛が強くなったと推測された.