著者
大良 智夫 面谷 信
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.498-502, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
4
被引用文献数
2

人が金色と認識している対象物は,物理的な測色結果によると黄色である.我々は,形状認識が金色認識の前提条件であるとの仮説を提示し,これを支持する実験結果を既に示している.本報告では,金色対象物表面における周囲環境の映り込みに着目した.我々は鏡面状の対象物表面への映り込みが対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識に寄与すると想定し,これを検証するための実験を行なった.照明条件の調整により映り込みの無い状態と有る状態で金メッキスプーンを撮影し,撮影した画像中の対象物の形状と色を被験者に評価させた.金色認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では金色認識が困難になることを示した.同時に,形状認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では形状認識が難しくなることを示した.これらの結果から,対象物表面への周囲物映り込みは対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識を容易にすると結論づけた.