著者
大西 俊輝 山内 愛里沙 大串 旭 石井 亮 青野 裕司 宮田 章裕
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.1620-1628, 2021-09-15

褒める行為は,対象の行動や性格に向けられた称賛を表現する言語的・非言語的な行動であると考えられているが,相手を上手く褒めるためには言語的・非言語的行動をどのように用いれば良いかは明らかにされていない.そこで我々は,人間の言語的・非言語的行動を利用して,対話における褒め方の上手さを分析する取り組みに着目する.本稿では,対話における褒め方の上手さと人間の行動の関係を分析する取り組みとして,言語的・非言語的行動の中から頭部と顔部の振舞いの着目し,相手を上手く褒めるためにはどのような頭部と顔部の振舞いが重要であるか明らかにする取り組みを行う.はじめに,頭部と顔部の振舞いと,褒め方の上手さの評価値を含む対話コーパスを作成した.次に,頭部と顔部の振舞いに関連する特徴量を用いて褒め方の上手さの評価値を推定する機械学習モデルを構築し,どのような頭部と顔部の振舞いが重要であるかを検証した.その結果,頭部の向きや視線の方向に関する振舞い,口角や口の開きに関する振舞いが相手を上手く褒めるためには重要であることが明らかになった.また,自分が相手を上手く褒められたかどうか判断する際は,相手の瞼や瞬きの様子に注目すれば良い可能性が示唆された.
著者
大串 旭 大西 俊輝 田原 陽平 石井 亮 深山 篤 中村 高雄 宮田 章裕
雑誌
グループウェアとネットワークサービスワークショップ2021(GN Workshop 2021) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.1-8, 2021-11-12

日常生活において褒める行為は大切なコミュニケーションである.褒め方の上手さを向上させるためには自分自身の褒め方の上手さを把握することが必要であると考えられるが,自分自身の褒め方の上手さを把握することは困難である.これより,我々は褒め方の上手さを評価するシステムの構築を目指す.この目標を達成するためには,褒め方の上手さを推定できる機械学習モデルの構築が必要である.そこで本稿では,話者(褒める人,褒められる人)の発話内容から,褒め方の上手さを推定できるか明らかにする取り組みを行う.はじめに,話者の発話内容として BERT でベクトル変換したものを言語特徴量として抽出した.次に,抽出した言語特徴量を用いて褒め方の上手さの評価値を推定する機械学習モデルの構築を行った.最後に,話者の発話内容をどのように利用すれば上手い褒め方を推定できるのか分析を行った.その結果,分類モデルにおいては褒める人の発話のみを利用したモデルの精度が最もよく,回帰モデルにおいては褒める人の発話とその後の褒められる人の発話を利用したモデルの精度が最もよくなることが確認できた.