著者
大谷 璋
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-36, 1968-01-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

E.O.G.法により眼球運動に関する研究を行った. 結果は次の通りであった. (1) 周辺視野の視覚刺戟に対する, 眼球運動の選択反応時間を測定した (図2, 3). その時の反応時間は Hich の法則に従わなかった. 即ち選択数が増大しても反応時間は大とならなかった. (2) 接近した時間間隔で継時的に2個の視覚刺戟に反応しなければならないとき, 第2の反応時間は第1に比較して, 時間間隔が300msec. 以下のとき増大した. (3) 交互に点灯する光刺戟又は数字 (数字表示管による) を交互に固視するとき, 各300msec. 以下の点灯時間の場合では光点を追って凝視出来ずおくれが生じた (図5). 同様にして数字表主管で数字を読みとらせたときは単なるネオン光を追従させたときよりもわずかおくれが大きかった (図5, 表2). (4) 実験室においてベルト・コンベア視覚検査作業の実験を行った. 検査対象が1秒間3.5個以上の速度で流れた時は検査精度が低下した (表3). (4) 工場現場で鋼板のベルト・コンベアによる検査作業の眼球運動を測定した. 1秒あたりの眼球運動はベルト・コンベアの速度いかんにかかわらず1秒間約3.5回であった (図6).以上の結果から意志的に飛越的に眼球を動かすときは1秒間に3回前後が運動の限度と考えられる.
著者
大谷 璋
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.91-96, 1970-04-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7

漸次一定速度で接近してくる視標の認知に対する精神作業の影響をみた. 精神作業としては聴覚弁別をもちいた. 聴覚弁別の難易度を変えて精神作業のむずかしさをかえた. 聴覚弁別を課したときの動体視力は視認距離と視覚で約10%低下した. また聴覚弁別をした時は, しなかった時と比較して視標に対する反応は1秒たらずおくれた. 視標が認知できる距離に達したときは, 視覚弁別もその影響をうけ. あやまりが多くなった.