- 著者
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大門 高明
- 出版者
- 独立行政法人農業生物資源研究所
- 雑誌
- 若手研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2008
本課題では、カイコの眠性決定座位であるmod,rt,Mのポジショナルクローニングを行うことで、カイコの眠性決定の分子機構の解明を試みた。カイコの眠性変異体modについては、その原因遺伝子の同定と機能解析が終了し、modの原因が幼若ホルモンの生合成の異常によるものであることを明らかにした。rtについては、約400kbまで絞り込んだが、有力な候補遺伝子の特定には至らなかった。Mについては、M候補遺伝子の詳細な発現解析を行い、M座がエクジソン生合成に関わる可能性を示唆する結果が得られた。このMの候補遺伝子は、生物のボディプランに関わる重要な遺伝子であるが、形態形成以外にも内分泌系への関与を通して生物の成長や発育タイミングを決定するという、これまで全く知られていなかった新規の役割を担う可能性が示唆された。