著者
大高 道也
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.18-25, 1997
被引用文献数
1

国際交流の進展に伴って海外旅行者が急増し, 入国時の有症者あるいは輸入感染症例も多くなっている. また, 海外では様々な新興感染症の流行をみており, 伝染病の侵入防止と海外旅行者の健康管理は国民の大きなニーズとなっている.<BR>このような状況を踏まえ, 成田空港検疫所では, 入国時に幅広く応じられる健康相談室と併せ, 出国者に対しても健康相談コーナーを設けるなど,"海外で感染症にかからない, 持ち込まない" を旨として, 渡航先の保健医療情報の提供など感染症予防と健康管理のための啓発と支援を推進している.<BR>輸入感染症に対しては, 主として国内での早期発見・治療ならびに海外での一次予防への取り組みが重要であり, 検疫所と国内防疫機関などとの連携, 海外保健医療情報の収集・提供システムの構築, 保健・環境領域における国際協力の推進など, 国内外を広く視野にいれた多面的な対策が求められている.