著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985
被引用文献数
1 1

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.<BR>症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.<BR>患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.<BR>HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985-03-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1 2

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
望月 康弘 大久保 秀夫 秦 大資 吉田 晃 細木 義郎 神田 成夫 仁科 徳啓 秋山 真人 塩澤 寛治 林 道明 杉枝 正明 村上 正博
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.52-60, 1989-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

昭和61年9月~62年7月の間に静岡県立総合病院小児科を受診した腹痛, 下痢患者499例について糞便中の病原細菌の検索を行い, 47例よりCampylobacter jejuniを分離した.下痢発症前の食事内容, 調理器具の取り扱いなどを調査し, 患児と同年齢で家族内に最近2週間以内に下痢症のない対照群と比較した結果, 患者群では生肉を取り扱う際のまな板, 包丁を必ず洗剤や石鹸で洗う割合が対照群よりも少なく, 有意差が認められた.同居者, ペット動物の保菌状態を調査し, 下痢患者の祖母1例, 父2例, 母5例, 同胞6例より本菌を分離したが, 家庭で飼育しているペット動物からは分離されなかった.鶏肉を調理したあと, 家族内で集団発生した例が3家族あり, うち2家族において, 患者が摂食した鶏肉が冷凍保存されており, C.jejuniが検出された.患者から分離された本菌の血清型は, Pennerの方法で2型が多く, 市販の鶏肉分離株との間に共通性がみられた.静岡市内の小学校で飼育されている動物について広範に調査し, 387のうち10検体 (2.6%) より本菌を分離した.追跡調査により通常は比較的速やかに菌の消失をみた.飼育環境の悪い例では, 150日以上排菌が続いていたが, 飼育担当者のなかに下痢を発症した者はなかった.これらのデータより, 静岡市のような我国の平均的都市部では, 本症の発症原因として, 家族内での人から人への感染やペット動物からの感染は比較的少なく家庭内で生の鶏肉を取り扱う際の, 調理器具や, 手指を介する他の食品の汚染が最も重要な危険因子であり, 調理者に対する衛生教育と鶏肉の細菌汚染防止対策についての研究を進める事が, 最も重要と思われた.
著者
岩田 健太郎 島田 智恵 川端 寛樹
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.44-48, 2013-01-20 (Released:2014-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A 42-year-old woman presenting with years of fever and vague symptoms could not be satisfactorily diagnosed in physical examination or conventional workups. She was presumptively diagnosed with chronic fatigue syndrome and treated symptomatically. Fourteen months after the initial visit, she developed left facial palsy. Lyme disease serology was positive. Four weeks of oral amoxicillin ameliorated symptoms. Only 5 to 15 cases of Lyme disease are reported annually in Japan, mostly from the northeastern-most island of Hokkaido. It may occur anywhere in Japan, however; probably is underdiagnosed. Lyme disease may cause fevers of unknown origin. Astute clinical suspicion and appropriate workups are thus needed to diagnose this infection.
著者
小林 とよ子 渡辺 邦友 上野 一恵
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1639-1644, 1992-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

沖縄本島および南西諸島 (粟国島, 宮古島, 伊良部島, 多良間島, 石垣島, 小浜島, 西表島, 波照間島) の144地区における砂糖キビ畑を中心に採取した土壌290検体および黒砂糖の製糖工場において精糖工程から抜き取り採取した53検体についてボッリヌス菌と破傷風菌の分離を行った.ボッリヌスE型菌は沖縄本島の土壌135検体のうち, 北部地区の我地および安波と南部地区の豊見城の3ヵ所から検出された.ボッリヌスC型毒素は沖縄本島および粟国島, 伊良部島, 小浜島, 波照間島から証明されたが, 菌は分離されなかった.ボッリヌスA型菌は沖縄本島および南西諸島のいずれの土壌からも検出されなかった.破傷風菌の分布は地域により片寄りがみられ, 沖縄本島では北部より南部の方が高率に検出された.南西諸島では粟国島, 宮古島, 伊良部島, 多良間島, 西表島および波照間島の土壌から検出され, とくに伊良部島と多良間島では高率に検出された.黒砂糖工場における調査では, 波照間島の検体からボッリヌスC型毒素が証明された.破傷風菌は多良間島, 石垣島および小浜島の検体から検出された.しかし, 最終製品の黒砂糖からはボッリヌス菌, 破傷風菌は検出されなかった.
著者
平野 勝也 森 孝宏 奥村 雄三 林 純 野村 秀幸 宮永 修 吉松 博信 石橋 大海 柏木 征三郎 稲葉 頌一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.388-392, 1988-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

27歳の健康な女性がB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症したが, 血漿交換を含む治療により救命し得た. 患者の過去3回の献血時の検査ではHBs抗原は陰性で, 輸血歴およびキャリアーの家族歴はないが, HBe抗原陽性のB型慢性肝炎患者の婚約者と発症2ヵ月前から親密な交際があったことから, 婚約者が感染源と考えられた.性行為に伴うB型急性肝炎の発症の報告はみられるが, 劇症肝炎の報告は稀であり, 将来も本例のような劇症肝炎の発症をみることが予想される. B型肝炎の予防対策の一環としてのキャリアーに対する教育上示唆に富む症例と思われたので報告する.
著者
福島 一彰 柳澤 如樹 佐々木 秀悟 関谷 綾子 関谷 紀貴 菅沼 明彦 味澤 篤 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.310-315, 2016-05-20 (Released:2017-11-17)
参考文献数
12

We present 3 cases of ocular syphilis in patients who had been newly diagnosed as having HIV. All the patients had only complained of ophthalmologic symptoms at the time of their initial visit. Treatment with penicillin was successful, resulting in no significant sequelae. Ocular syphilis may lead to reduced visual acuity or even blindness if left untreated. However, the diagnosis may be challenging, since patients may lack symptoms that are commonly observed in cases with primary and secondary syphilis. Considering the recent increase in the number of syphilis patients, clinicians should be aware of ocular syphilis and should have a high index of suspicion for syphilis in any patient at risk so as to ensure a prompt diagnosis.
著者
海老沢 功 本間 れい子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.701-707, 1985-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1

日本に於ける破傷風患者は減少し過去の疾患と考えられやすい. 日本の破傷風の実態を把握するために人口動態統計に基づく破傷風死亡率及び自験例を中心に破傷風致死率について検討した. 1947~1982年までの破傷風死亡総数は21,916人であり1947年の破傷風死亡率は人口10万対2.84であったが1955年に10万対0.98, 1982年に10万対0.02と著しく減少した. 新生児破傷風死亡率は1947年に生産児10万対36.1であったが1966年ごろより減少の速度をはやめ1979年には死者0となった. 破傷風死亡者の年齢別分布の推移をみると1955年ごろまでは新生児破傷風が40%以上をしめ次いで0~9歳の患者が20%近くをしめており若年患者が多く高齢者の割合が少なかった. 1966年ごろより著しく減少した新生児破傷風にかわって60歳以上の患者の増加がめだち破傷風患者の高齢化現象が認められた. この原因として施設内出生率の増加に伴う新生児破傷風の減少, DTP三種混合ワクチン普及による若年層患者の減少及び平均寿命の延びに伴う高齢患者の相対的増加等が考えられる. 自験例593人について破傷風の致死率の変遷を検討したところ1970年までは40%以上の患者が死亡したが1971年以後の致死率の低下はめざましく20%以下となった. 特にOnsettime48時間以内の重症例における1976年以後の致死率の低下が著しく, 集中治療の普及と進歩によるものと考えられた.
著者
友野 順章 城 裕之
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.613-618, 2008-11-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

オセルタミビルはインフルエンザウイルスの増殖に関与するノイラミニダーゼを阻害する薬剤の一つであり, 罹病期間の短縮や肺炎などの合併症を予防することが知られている. 近年, 本薬剤の内服治療中に異常行動をおこすことが言われている. しかし異常行動が感染自体によるものであれば, 本薬剤が異常行動の発生を減少させる可能性が考えられる. 今回, 我々は本薬剤がインフルエンザ罹患時の異常行動の頻度を低下させるか検討した. 2006年12月から2007年3月までに異常行動を主訴に当院を受診しインフルエンザウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の12例を異常行動群とし, 発熱を主訴に来院し異常行動を示さずウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の335名を対照群とした. 平均年齢は異常群では825±322歳対照群では6.09±3.74歳と有意に異常行動群で高かった. (p=0.049). 両群問で, 性別, ウイルスタイプには有意な差は見られなかった. オセルタミビルは異常行動群では50.0%の患者が内服していたが, 対照群では779%が内服していた. (p=0.024) オセルタミビルはインフルエンザに伴う異常行動を抑制する可能性が示唆された.
著者
藤井 修照
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.64-69, 1986-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

1984年6月初めから2ヵ月の間に, 発熱を以って始まる特異な発疹性疾患103例を経験した.強い流行性を示し, 家族内伝播の傾向が著明であり, 殆んどが9歳以下の小児であったが, 患児の親にも感染は及んだ.材料の採取できた症例の90%にEchovirus type 16 (以下Echo 16と略す) が証明され, この疾患はBoston exanthemであると結論するに至った.本疾患は数日の発熱のあと, 特異な発疹が出現, 約1週間で消退し, 合併症もなく比較的軽症であるが, 類似する他の発疹性疾患との鑑別は比較的容易であると考えられる.Echo16の分離される頻度は極めて低いと云われるが, 今回観察された強い流行の原因についての解明が待たれる.
著者
加藤 孝治 中村 千衣 天野 冨貴子 田中 康之 上田 康夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.872-876, 1982-10-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

世界の交通網の発達により, 各地の種々の風土病を観察する機会が多くなったが, 診断困難な場合もある.症例は, 22歳白人男子学生で, 約2年にわたり, 欧州, 中近東, バングラディシュ, ネパール, インドを経て来日した. 彼は, インドでA型肝炎とサルモネラ腸炎に罹患し来日し入院した. この治療中に三日熱マラリァを発症した.インド出国時に多数の蚊に刺され, その17日後より5日間発熱し解熱した. 35日目に再度発熱し, 48時間間隔の定型的な熱型と, 三日熱マラリア原虫を血液像で認め, マラリアと診断した.抗マラリア治療終了後, 1週間目に行なった骨髄穿刺では, 環状体の原虫を少数認めたが, 死滅し, 完治するものと考えられる.今後国外旅行者はさらに増加し, A型肝炎, マラリアを含め, 各地の風土病の発生が増加すると思われる.国外旅行者の発症に関しては, 充分注意して診断する必要がある. 又治療薬剤については, 種々の制限があるが, 予防投薬や, ワクチンの開発が特に望まれる.
著者
齋藤 淑子 内藤 俊夫 久木野 純子 奥村 徹 関谷 栄 礒沼 弘 渡邉 一功 檀原 高 林田 康男
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.70-75, 2004-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

We report a 32-year-old female with eating disorder whose body weight was only 20kg. She was admitted to the hospital with severe low nutrition, low proteinemia, liver dysfunction, hypokalemia and hypoglycemia. On the third hospital day, she had a high fever and Campylobacter fetus subsp. fetus (C. fetus) was isolated from the blood. After treatment with meropenem (1g/day) intravenous drip injection, her condition improved.C. fetus sepsis is not common disease in Japan. A review of 37 cases of this disease in Japan revealed that the age range of adult patients was 20 to 60 years old. The male-to-female ratio was 4.6 to 1.0. Seventy-eight percent of the patients had underlying diseases which were composed of 11 patients with liver disease, 6 patients with blood dyscrasia and some with diabetes mellitus, heart disease, other malignant tumor and collagen disease. There was no case with eating disorder. All apparent sources of infection in Japan originate from eating raw food. Gastrointestinal symptoms were observed in only 16% of the patients. Recent recommendations for the treatment of C. fetus sepsis are to use gentamicin, imipenem and meropenem. Some strains of C. fetus have resistance to erythromycin, ciprofloxacin. The mortality of this infection is 14% in Japan.
著者
具 芳明 岡本 悦司 大山 卓昭 谷口 清州 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.494-500, 2011-09-20 (Released:2017-08-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

薬剤耐性菌に対する対策として抗菌薬適正使用が強調されている.しかし,抗菌薬使用量とくに外来での抗菌薬使用量を地域単位で把握する試みはこれまでになされていない.そこで,長野県諏訪地域における 2009 年 12 月から 2010 年 5 月の国民健康保険電子レセプトから抗菌薬処方情報を集計するとともに,同地域の主要病院における薬剤耐性菌の頻度を集計し,外来での抗菌薬使用量との関連について検討した. 同地域における国民健康保険被保険者数は 31,505 人(人口の 27.1%)であり,レセプト電子化率は医科 77.4%,調剤 96.0%であった.外来での抗菌薬総使用量は 9.34 Defined Daily Dose(DDD)/1000 被保険者・日であり,MLS(マクロライドなど),ペニシリン以外の β ラクタム系,キノロン系の順であった.海外における先行研究と比べ,外来抗菌薬使用量は少なく,その内容も特徴的であった.大腸菌のキノロン耐性は外来でのキノロン系抗菌薬の使用量から予想される範囲であったが,マクロライド非感受性肺炎球菌の割合は外来での MLS 使用量から予想されるよりも高かった. 国民健康保険電子レセプトを用いて地域での抗菌薬使用量を算出することが可能であった.抗菌薬総使用量およびその内容は,抗菌薬適正使用を含めた薬剤耐性菌対策を推進する上で有用な基礎情報になるものと考えられた.
著者
川崎 幸彦 細矢 光亮 片寄 雅彦 鈴木 仁
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.104-109, 1999-02-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
4 6

近年, 麻疹やRSウイルス (RSV) 感染症に対するビタミンA補充療法 (本療法) の有効性が報告されているが, 本邦のようにビタミンA欠乏が問題にならない国における本療法の治療効果に関する報告は少ない.今回, 私達は, 基礎疾患を有さず栄養状態の良好な麻疹患児108例とRSV感染症患児95例を臨床症状の重症度により中等症と重症の2群に分類し, 各群についてビタミンA投与群と非投与群で, その主要臨床症状の持続期間, 入院期間, 合併症の有無を比較検討した.ビタミンAは入院第1, 第2の両病日に各々10万単位を経口投与した.麻疹患児群ではビタミンA投与群において重症度にかかわらず咳噺の持続期間が有意に短縮したが, 発熱期問や入院期問および合併症の出現率に有意差はみられなかった.RSV患児では重症度においてビタミンA投与により陥没呼吸や瑞鳴の出現期間が短縮した.すなわち, ビタミンA補充療法は本邦における麻疹やRSV感染症において, 特に重症例ではその臨床症状を改善するものと考えられた.
著者
雨宮 一彦 田口 文章
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.177-182, 1994-02-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

業務用に使用されているシャンプーとリンスの細菌汚染の実態を知ることを目的に, 無作為に抽出した理容店と美容店17施設から分与して貰った39検体の洗髪液について, 血液寒天培地を用いて, 細菌の分離試験を実施した. 原液を希釈して用いるシャンプーやリンス (希釈型, 21検体) と, ボトルから直接使用するもの (ポンプ型, 18検体) の細菌検出率は, 各々76.2%と33.3%であった. 細菌が検出されたシャンプーとリンス中の総細菌数は最少1.0×102CFU/mlから最大7.0 ×107CFU/mlであった. 分離菌は, Serratia marcescensが43.3%と最も多く, 他にEnterobacter aerogenes, Klebsiella pneumoniaeなどの腸内細菌とPseudomonas aeruginosaやPseudomonas cepacia などのブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌等日和見感染の原因となりうる細菌であった.<BR以上の結果は, 業務用シャンプーとリンスが細菌に汚染されている実態と, 洗髪剤の衛生的な取り扱いの必要性を明らかにした.
著者
岩田 雅史 戸田 眞佐子 中山 幹男 辻山 博之 遠藤 済 高橋 雄彦 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.487-494, 1997-06-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
9 8

紅茶エキスによるうがいが, インフルエンザを予防できるかどうかを検討した.実験は, 平成4年10月18日から平成5年3月17日までの5カ月間行なった.まず同一職域集団297人を2群に分け, 実験群151人は, 原則として8時と17時の2回, 1回約100ml程度の紅茶エキス (0.5W/V%) でうがいをした.対照群146人は, 特に何も行なわなかった.実験期間中にインフルエンザ症状を呈した者56人の咽頭ぬぐい液からウイルスを分離し抗原分析をした結果, A型ウイルスH3N2が2株およびB型ウイルス10株が分離された.感染の判定は, 実験開始時および終了時に採血を行い, A/Yamagata/120/86 (HIN1), A/Saitama/55/93 (H3N2), B/Saitama/5/93と赤血球凝集抑制反応を行ない, 抗体価が4倍以上上昇したものを感染とみなした.その結果, 感染者は実験群35.1%に対して対照群では48.8%で, 有意な差 (p<0.05) が認められた.この結果, 紅茶エキスによるうがいは, インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
著者
谷 賢治 高橋 宏 加藤 清 松永 敬一郎 坂本 洋 成田 雅弘 千場 純 進藤 邦彦 伊藤 章 福島 孝吉
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.280-285, 1983-03-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
17

風疹に続発する中枢神経系合併症のうち, 脳炎を併発した成人の一例を報告し, 本邦の報告例11例の文献的考察を加え, 小児の風疹脳炎と比較検討し報告した.[症例] 22歳男性.主訴は嘔吐と意識消失. 家族歴と既往歴に特記事項なし. 現病歴は体幹部の粟粒大の発疹, 発熱と頭痛が初発症状, 3日後に症状消失, 第7病日に主訴出現し入院. 意識レベルは100で神経学的な病的反射と髄膜刺激症状はなし, 末梢血で白血球増多と核の左方移動, 血清の風疹抗体価はHI512倍, CRP (±) とIgA増加. 検尿で蛋白 (+), 糖 (2+), 沈渣は赤血球やや多数/1視野, 白血球18~20/1視野. 腰椎穿刺で初圧75mm水柱, 細胞数189/3 (顆粒球59/3, リンパ球130/3), 蛋白94mg/dl, 脳波はθ波のslowing. 第8病日の意識レベルは3で項部硬直出現. 第9病日の血清風疹抗体価4,096倍, 第11病日の意識は明瞭, 第12病日に項部硬直消失. 第14病日の血清風疹抗体価8,192倍, 第27病日は2,048倍と低下.[自験例を含む本邦の成人風疹脳炎12症例と小児風疹脳炎の比較] 発疹出現から脳炎症状出現までの日数, 臨床症状, 髄液所見で成人の風疹脳炎と小児の風疹脳炎に差は見られないが, 初発症状で小児例に嘔気, 嘔吐と痙李が見られるのに成人例では認められない事や, 予後で小児例に死亡する例が有るが成人例では無い事が異なる.
著者
保阪 由美子 木村 琢磨 鈴木 亮 鄭 東孝 荘司 路 青木 泰子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.592-596, 2010-09-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
15

A 64-year-old man with prostate cancer and bone metastasis admitted for nausea, left abdominal pain showed no abnormal, and fever, abdominal ultrasound or chest X-ray findings. Despite antibiotics, left abdominal pain persisted for several days. Abdominal computed tomography (CT), showed splenic infarction. Transesophageal echocardiography suggested infectious endocarditis (IE) as a possible infarction cause, and roth spots were found on the retina. Gemella morbillorum was detected from blood culture. IE commonly causes Fever of Unknown Origin found by infarction. G. morbillorum, an anaerobic grampositive, viridans group streptococci, is indigenous to the oropharynx, upper respiratory, urogenital, and gastrointestinal tracts, and is thought to have weak toxity and pathogenicity in the body.
著者
佐久川 廣
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.14-21, 1992-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
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沖縄県の献血者におけるHBs抗原陽性率は3.5%で, 全国平均 (1.5%) の2倍以上を示し, 全国-高い.一方, 肝硬変, 肝癌の死亡率は全国平均の約半分で, 全国で最も低い.今回著者は沖縄県のHBV感染と慢性肝疾患との関連におけるこの疫学的特異性を解明するために疫学調査を含めた臨床的検討を行った.先ず, 血清疫学的調査から次のような成績が得られた.1) 沖縄県の肝硬変, 肝細胞癌患者におけるHBs抗原の陽性率はそれぞれ15.2%, 24.4%で, 全国平均の陽性率 (肝硬変;23.4%, 肝細胞癌;31.4%) より低い.2) 無症候性キャリアにおける年齢別のHBe抗原陽性率は20歳以下の年齢で50%で, 年齢と共にその陽性率は低下し, 20代で15.7%で, 30歳以上では2~3%あるいはそれ以下の陽性率を示した.また, 肝外来を受診した無症候性キャリアの内, 6.3%が慢性肝炎, 1例 (0.2%) が肝硬変であった.一方, HBe抗原陽性B型慢性肝炎24例の検討では, 2年間の観察期間中に56.3%の症例にHBe抗原の自然消失を認め, これらの症例の年間の消失率は25.6%であった.このように, 沖縄県のHBs抗原キャリアにおいて, 若い時期にあるいは慢性肝炎の初期の段階でHBe抗原を陰性化させていることがその予後に良好な結果をもたらし, B型慢性肝疾患の有病率を低下させていると推定された.