著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985
被引用文献数
1 1

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.<BR>症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.<BR>患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.<BR>HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
林 純 柏木 征三郎 野村 秀幸 梶山 渉 池松 秀之 青山 俊雄 与儀 洋和
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.315-320, 1985-03-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1 2

B型肝炎ウイルスは家族内感染以外, 医療行為や性行為で伝播する事は良く知られているが, その他にHBsAg carrierが使用した歯ブラシやカミソリなどを介しての伝播の可能性も考えられている.著者らはcarrierとカミソリを共用したため, 劇症B型肝炎に罹患した1例を経験したので報告する.症例は沖縄県石垣市の中学校女子生徒 (14歳) で, 昭和58年1月HBsAg陽性の急性肝炎を発症し, その後意識障害の出現などから劇症B型肝炎と診断されたが, 血漿交換などにより治癒した.患者が通っていた中学校の全生徒341名のHBsAg陽性率は4.1%, anti-HBsは13.8%, anti-HBcは18.2%で, 当地区における一般住民の陽性率よりやや低い成績であった.この患者の感染経路を検討したところ, 発症2ヵ月前の修学旅行にて, 患者はHBsAg carrier (HBeAg陽性) の女生徒が美容のため下肢の剃毛に使用したカミソリをそのまま借用し, 同様に剃毛を行ったため感染したものと考えられた.HBsAg carrierへの対策として, 肝機能の面からだけでなく, 感染源としての指導, 教育を行う必要があると考えられた.
著者
望月 康弘 大久保 秀夫 秦 大資 吉田 晃 細木 義郎 神田 成夫 仁科 徳啓 秋山 真人 塩澤 寛治 林 道明 杉枝 正明 村上 正博
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.52-60, 1989-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

昭和61年9月~62年7月の間に静岡県立総合病院小児科を受診した腹痛, 下痢患者499例について糞便中の病原細菌の検索を行い, 47例よりCampylobacter jejuniを分離した.下痢発症前の食事内容, 調理器具の取り扱いなどを調査し, 患児と同年齢で家族内に最近2週間以内に下痢症のない対照群と比較した結果, 患者群では生肉を取り扱う際のまな板, 包丁を必ず洗剤や石鹸で洗う割合が対照群よりも少なく, 有意差が認められた.同居者, ペット動物の保菌状態を調査し, 下痢患者の祖母1例, 父2例, 母5例, 同胞6例より本菌を分離したが, 家庭で飼育しているペット動物からは分離されなかった.鶏肉を調理したあと, 家族内で集団発生した例が3家族あり, うち2家族において, 患者が摂食した鶏肉が冷凍保存されており, C.jejuniが検出された.患者から分離された本菌の血清型は, Pennerの方法で2型が多く, 市販の鶏肉分離株との間に共通性がみられた.静岡市内の小学校で飼育されている動物について広範に調査し, 387のうち10検体 (2.6%) より本菌を分離した.追跡調査により通常は比較的速やかに菌の消失をみた.飼育環境の悪い例では, 150日以上排菌が続いていたが, 飼育担当者のなかに下痢を発症した者はなかった.これらのデータより, 静岡市のような我国の平均的都市部では, 本症の発症原因として, 家族内での人から人への感染やペット動物からの感染は比較的少なく家庭内で生の鶏肉を取り扱う際の, 調理器具や, 手指を介する他の食品の汚染が最も重要な危険因子であり, 調理者に対する衛生教育と鶏肉の細菌汚染防止対策についての研究を進める事が, 最も重要と思われた.
著者
岩田 健太郎 島田 智恵 川端 寛樹
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.44-48, 2013-01-20 (Released:2014-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A 42-year-old woman presenting with years of fever and vague symptoms could not be satisfactorily diagnosed in physical examination or conventional workups. She was presumptively diagnosed with chronic fatigue syndrome and treated symptomatically. Fourteen months after the initial visit, she developed left facial palsy. Lyme disease serology was positive. Four weeks of oral amoxicillin ameliorated symptoms. Only 5 to 15 cases of Lyme disease are reported annually in Japan, mostly from the northeastern-most island of Hokkaido. It may occur anywhere in Japan, however; probably is underdiagnosed. Lyme disease may cause fevers of unknown origin. Astute clinical suspicion and appropriate workups are thus needed to diagnose this infection.
著者
小林 とよ子 渡辺 邦友 上野 一恵
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1639-1644, 1992-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

沖縄本島および南西諸島 (粟国島, 宮古島, 伊良部島, 多良間島, 石垣島, 小浜島, 西表島, 波照間島) の144地区における砂糖キビ畑を中心に採取した土壌290検体および黒砂糖の製糖工場において精糖工程から抜き取り採取した53検体についてボッリヌス菌と破傷風菌の分離を行った.ボッリヌスE型菌は沖縄本島の土壌135検体のうち, 北部地区の我地および安波と南部地区の豊見城の3ヵ所から検出された.ボッリヌスC型毒素は沖縄本島および粟国島, 伊良部島, 小浜島, 波照間島から証明されたが, 菌は分離されなかった.ボッリヌスA型菌は沖縄本島および南西諸島のいずれの土壌からも検出されなかった.破傷風菌の分布は地域により片寄りがみられ, 沖縄本島では北部より南部の方が高率に検出された.南西諸島では粟国島, 宮古島, 伊良部島, 多良間島, 西表島および波照間島の土壌から検出され, とくに伊良部島と多良間島では高率に検出された.黒砂糖工場における調査では, 波照間島の検体からボッリヌスC型毒素が証明された.破傷風菌は多良間島, 石垣島および小浜島の検体から検出された.しかし, 最終製品の黒砂糖からはボッリヌス菌, 破傷風菌は検出されなかった.
著者
平野 勝也 森 孝宏 奥村 雄三 林 純 野村 秀幸 宮永 修 吉松 博信 石橋 大海 柏木 征三郎 稲葉 頌一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.388-392, 1988-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

27歳の健康な女性がB型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症したが, 血漿交換を含む治療により救命し得た. 患者の過去3回の献血時の検査ではHBs抗原は陰性で, 輸血歴およびキャリアーの家族歴はないが, HBe抗原陽性のB型慢性肝炎患者の婚約者と発症2ヵ月前から親密な交際があったことから, 婚約者が感染源と考えられた.性行為に伴うB型急性肝炎の発症の報告はみられるが, 劇症肝炎の報告は稀であり, 将来も本例のような劇症肝炎の発症をみることが予想される. B型肝炎の予防対策の一環としてのキャリアーに対する教育上示唆に富む症例と思われたので報告する.
著者
福島 一彰 柳澤 如樹 佐々木 秀悟 関谷 綾子 関谷 紀貴 菅沼 明彦 味澤 篤 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.310-315, 2016-05-20 (Released:2017-11-17)
参考文献数
12

We present 3 cases of ocular syphilis in patients who had been newly diagnosed as having HIV. All the patients had only complained of ophthalmologic symptoms at the time of their initial visit. Treatment with penicillin was successful, resulting in no significant sequelae. Ocular syphilis may lead to reduced visual acuity or even blindness if left untreated. However, the diagnosis may be challenging, since patients may lack symptoms that are commonly observed in cases with primary and secondary syphilis. Considering the recent increase in the number of syphilis patients, clinicians should be aware of ocular syphilis and should have a high index of suspicion for syphilis in any patient at risk so as to ensure a prompt diagnosis.
著者
海老沢 功 本間 れい子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.701-707, 1985-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1

日本に於ける破傷風患者は減少し過去の疾患と考えられやすい. 日本の破傷風の実態を把握するために人口動態統計に基づく破傷風死亡率及び自験例を中心に破傷風致死率について検討した. 1947~1982年までの破傷風死亡総数は21,916人であり1947年の破傷風死亡率は人口10万対2.84であったが1955年に10万対0.98, 1982年に10万対0.02と著しく減少した. 新生児破傷風死亡率は1947年に生産児10万対36.1であったが1966年ごろより減少の速度をはやめ1979年には死者0となった. 破傷風死亡者の年齢別分布の推移をみると1955年ごろまでは新生児破傷風が40%以上をしめ次いで0~9歳の患者が20%近くをしめており若年患者が多く高齢者の割合が少なかった. 1966年ごろより著しく減少した新生児破傷風にかわって60歳以上の患者の増加がめだち破傷風患者の高齢化現象が認められた. この原因として施設内出生率の増加に伴う新生児破傷風の減少, DTP三種混合ワクチン普及による若年層患者の減少及び平均寿命の延びに伴う高齢患者の相対的増加等が考えられる. 自験例593人について破傷風の致死率の変遷を検討したところ1970年までは40%以上の患者が死亡したが1971年以後の致死率の低下はめざましく20%以下となった. 特にOnsettime48時間以内の重症例における1976年以後の致死率の低下が著しく, 集中治療の普及と進歩によるものと考えられた.
著者
岩田 雅史 戸田 眞佐子 中山 幹男 辻山 博之 遠藤 済 高橋 雄彦 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.487-494, 1997
被引用文献数
8

紅茶エキスによるうがいが, インフルエンザを予防できるかどうかを検討した.実験は, 平成4年10月18日から平成5年3月17日までの5カ月間行なった.まず同一職域集団297人を2群に分け, 実験群151人は, 原則として8時と17時の2回, 1回約100ml程度の紅茶エキス (0.5W/V%) でうがいをした.対照群146人は, 特に何も行なわなかった.実験期間中にインフルエンザ症状を呈した者56人の咽頭ぬぐい液からウイルスを分離し抗原分析をした結果, A型ウイルスH3N2が2株およびB型ウイルス10株が分離された.感染の判定は, 実験開始時および終了時に採血を行い, A/Yamagata/120/86 (HIN1), A/Saitama/55/93 (H3N2), B/Saitama/5/93と赤血球凝集抑制反応を行ない, 抗体価が4倍以上上昇したものを感染とみなした.<BR>その結果, 感染者は実験群35.1%に対して対照群では48.8%で, 有意な差 (p<0.05) が認められた.この結果, 紅茶エキスによるうがいは, インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
著者
岩田 雅史 戸田 眞佐子 中山 幹男 辻山 博之 遠藤 済 高橋 雄彦 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.487-494, 1997-06-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
9 8

紅茶エキスによるうがいが, インフルエンザを予防できるかどうかを検討した.実験は, 平成4年10月18日から平成5年3月17日までの5カ月間行なった.まず同一職域集団297人を2群に分け, 実験群151人は, 原則として8時と17時の2回, 1回約100ml程度の紅茶エキス (0.5W/V%) でうがいをした.対照群146人は, 特に何も行なわなかった.実験期間中にインフルエンザ症状を呈した者56人の咽頭ぬぐい液からウイルスを分離し抗原分析をした結果, A型ウイルスH3N2が2株およびB型ウイルス10株が分離された.感染の判定は, 実験開始時および終了時に採血を行い, A/Yamagata/120/86 (HIN1), A/Saitama/55/93 (H3N2), B/Saitama/5/93と赤血球凝集抑制反応を行ない, 抗体価が4倍以上上昇したものを感染とみなした.その結果, 感染者は実験群35.1%に対して対照群では48.8%で, 有意な差 (p<0.05) が認められた.この結果, 紅茶エキスによるうがいは, インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
著者
友野 順章 城 裕之
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.613-618, 2008-11-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

オセルタミビルはインフルエンザウイルスの増殖に関与するノイラミニダーゼを阻害する薬剤の一つであり, 罹病期間の短縮や肺炎などの合併症を予防することが知られている. 近年, 本薬剤の内服治療中に異常行動をおこすことが言われている. しかし異常行動が感染自体によるものであれば, 本薬剤が異常行動の発生を減少させる可能性が考えられる. 今回, 我々は本薬剤がインフルエンザ罹患時の異常行動の頻度を低下させるか検討した. 2006年12月から2007年3月までに異常行動を主訴に当院を受診しインフルエンザウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の12例を異常行動群とし, 発熱を主訴に来院し異常行動を示さずウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の335名を対照群とした. 平均年齢は異常群では825±322歳対照群では6.09±3.74歳と有意に異常行動群で高かった. (p=0.049). 両群問で, 性別, ウイルスタイプには有意な差は見られなかった. オセルタミビルは異常行動群では50.0%の患者が内服していたが, 対照群では779%が内服していた. (p=0.024) オセルタミビルはインフルエンザに伴う異常行動を抑制する可能性が示唆された.
著者
藤井 修照
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.64-69, 1986-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
8

1984年6月初めから2ヵ月の間に, 発熱を以って始まる特異な発疹性疾患103例を経験した.強い流行性を示し, 家族内伝播の傾向が著明であり, 殆んどが9歳以下の小児であったが, 患児の親にも感染は及んだ.材料の採取できた症例の90%にEchovirus type 16 (以下Echo 16と略す) が証明され, この疾患はBoston exanthemであると結論するに至った.本疾患は数日の発熱のあと, 特異な発疹が出現, 約1週間で消退し, 合併症もなく比較的軽症であるが, 類似する他の発疹性疾患との鑑別は比較的容易であると考えられる.Echo16の分離される頻度は極めて低いと云われるが, 今回観察された強い流行の原因についての解明が待たれる.
著者
加藤 孝治 中村 千衣 天野 冨貴子 田中 康之 上田 康夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.872-876, 1982-10-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

世界の交通網の発達により, 各地の種々の風土病を観察する機会が多くなったが, 診断困難な場合もある.症例は, 22歳白人男子学生で, 約2年にわたり, 欧州, 中近東, バングラディシュ, ネパール, インドを経て来日した. 彼は, インドでA型肝炎とサルモネラ腸炎に罹患し来日し入院した. この治療中に三日熱マラリァを発症した.インド出国時に多数の蚊に刺され, その17日後より5日間発熱し解熱した. 35日目に再度発熱し, 48時間間隔の定型的な熱型と, 三日熱マラリア原虫を血液像で認め, マラリアと診断した.抗マラリア治療終了後, 1週間目に行なった骨髄穿刺では, 環状体の原虫を少数認めたが, 死滅し, 完治するものと考えられる.今後国外旅行者はさらに増加し, A型肝炎, マラリアを含め, 各地の風土病の発生が増加すると思われる.国外旅行者の発症に関しては, 充分注意して診断する必要がある. 又治療薬剤については, 種々の制限があるが, 予防投薬や, ワクチンの開発が特に望まれる.
著者
齋藤 淑子 内藤 俊夫 久木野 純子 奥村 徹 関谷 栄 礒沼 弘 渡邉 一功 檀原 高 林田 康男
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.70-75, 2004-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

We report a 32-year-old female with eating disorder whose body weight was only 20kg. She was admitted to the hospital with severe low nutrition, low proteinemia, liver dysfunction, hypokalemia and hypoglycemia. On the third hospital day, she had a high fever and Campylobacter fetus subsp. fetus (C. fetus) was isolated from the blood. After treatment with meropenem (1g/day) intravenous drip injection, her condition improved.C. fetus sepsis is not common disease in Japan. A review of 37 cases of this disease in Japan revealed that the age range of adult patients was 20 to 60 years old. The male-to-female ratio was 4.6 to 1.0. Seventy-eight percent of the patients had underlying diseases which were composed of 11 patients with liver disease, 6 patients with blood dyscrasia and some with diabetes mellitus, heart disease, other malignant tumor and collagen disease. There was no case with eating disorder. All apparent sources of infection in Japan originate from eating raw food. Gastrointestinal symptoms were observed in only 16% of the patients. Recent recommendations for the treatment of C. fetus sepsis are to use gentamicin, imipenem and meropenem. Some strains of C. fetus have resistance to erythromycin, ciprofloxacin. The mortality of this infection is 14% in Japan.
著者
中山 幹男 戸田 眞佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.824-829, 1994-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

マウスのインフルエンザウイルス感染実験系を用いて, 紅茶エキスによるインフルエンザウイルスの感染性の阻止を検討した.ウイルス懸濁液のみを鼻腔内に吸入させたマウス群は, 体重減少をおこし10日以内に100%が死亡したが, ウイルス懸濁液に2%(w/w) 紅茶エキスを混合し5分後に吸入させたマウス群では, 正常マウス群と同等の体重増加を示し, すべてのマウスが生残した.生残マウスのインフルエンザウイルスに対する血中抗体価を調べたところ, 10匹中9匹は抗体陰性であった.この実験結果から, 日常飲用している紅茶エキス濃度 (約2~3%) で, 105.3PFU/マウス (101, 3LD50) の高濃度のインフルエンザウイルスの感染性がほぼ100%阻止されることが明らかになった.以上の成績は, MDCK細胞を用いたin vitroの成績を支持するとともに, 紅茶エキスで処理されたウイルスの感染性が生体内で復帰しないことを示唆している.
著者
西村 秀一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.723-733, 2012-11-20 (Released:2014-10-06)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

本邦では,空中へ特殊な物質の放出により環境中においてウイルス不活化や殺菌の効果をもたらすとする複数の電気製品が市販されており,寒天培地上に塗布した細菌に対する殺菌効果も謳っている.そこで本研究では,プラズマクラスター,ナノイー,ビオンの3 機種について,腸球菌,黄色ブドウ球菌,緑膿菌,セレウス菌での追試を試みた.一定数の生菌含有菌液を普通寒天平板上に塗布し,14.4m3 閉鎖空間に対象機器とともに置き,機器を2 時間運転させた後培養し,出現するコロニー数を,非運転環境下においた対照のそれと比較した.その結果,調べた3 機種,4 種の菌のすべての組み合わせで,形成されるコロニーの数は対照のそれと変わらなかった.一方,細菌を塗布した寒天培地を容積0.2m3 の密閉グローブボックス内に置き,同様の実験を行ったところ,3 機種すべてが,腸球菌と黄色ブドウ球菌のコロニー形成を,程度の差はあれ対照と比べて有意に減少させ,一方緑膿菌については減少させなかった.前二者に対するコロニー形成抑制/殺菌の機序について,これらの機器が放出するオゾンが原因である可能性を検討した.その結果,殺菌効果は,それらが発生させるイオンや特殊微粒子を除去しても変わらず,一方で発生するオゾンを除去すると激減した. 以上の成績により,調べた電気製品には,1)通常の生活空間のような広い空間における使用では,ほとんど殺菌効果が期待できないこと,しかし,2)きわめて狭い空間における寒天培地上のある種の細菌という限定的な対象に対しては,ある程度の殺菌作用は認められること,だが,3)そうした効果は,一義的には,それらの機器が放出している特殊物質というより,それらが同時に放出しているオゾンによる殺菌効果で十分説明可能であること,が明らかになった.今回対象となった機器のみならず,こうした類の殺菌効果を謳う電気製品については,オゾンの関与を疑う必要があろう.
著者
田中 真奈実 入江 勇治 安羅岡 一男 佐藤 章仁 松本 繁 白田 保夫 中村 尚志 河合 美枝子 海老原 誠
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.156-163, 1988

関東地方利根川流域で感染した慢性日本住血吸虫症について, 茨城県内診断例12例を中心に, その診断法・病態・治療適応について検討した. 患者は, すべて海外渡航歴・利根川以外の本症流行地への旅行歴はなく, 取手市戸頭, 稲敷郡河内村, 筑波郡谷和原村等かつて本症の流行が報じられた地域の在住者である. 血中抗住血吸虫抗体及び糞便中の虫卵は検査したすべての症例で陰性であった. 8例の患者の確定診断は, 本症とは異なる基礎疾患で摘出された臓器 (胃・十二指腸等上部消化管及び肝・胆道系) 中の日本住血吸虫虫卵の病理学的検索によってなされた. しかし, 茨城県取手市戸頭の3症例と筑波郡伊奈町の1症例は, 人間ドックで画像診断学的に診断されており, 流行地における本症患者のスクリーニングには, 肝エコーにおける魚鱗状パターン, 肝CT像における被膜石灰化像・隔壁様石灰化像等特徴的所見も有用であることが示された. また, その病態は, 基礎疾患によって異なっており, 胃癌・肝癌等悪性腫瘍との合併例は4例であった. プラジカンテルによる治療適応の判定には, 虫卵排出の有無及び虫卵の孵化能の検索が必要であるが, 疑わしい症例には生検材料による孵化試験をすることが必要である. 病理組織学的検索だけでは, 感染時期及び孵化能の判定は困難である.
著者
武内 可尚 富樫 武弘 砂川 慶介 加藤 達夫 神谷 齊 中山 哲夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.56-62, 2002-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
14

麻疹・風疹二混 (HF) 生ワクチンを12-90カ月の小児442名に接種し抗体反応と副反応調査をおこなった. 368例で接種前後のペア血清を採取し, 接種前麻疹赤血球凝集抑制 (hemagglutination inhibition; HI) 抗体陰性者363例のうち抗体陽転例は343例 (94.5%) であった. 接種前風疹HI抗体陰性者361例のうち抗体陽転例は349例 (96.7%) であった.副反応調査は406例が対象となった. 37.5℃ 以上の発熱は102例 (25.1%), 39.5℃ 以上の発熱は2例 (0.5%) に認められた.発熱出現日の平均は6.7日で, 平均有熱期間は2.2日間であった発疹は87例 (21.4%) に認められ, 発疹の平均出現日は接種後7.1日で平均4.8日間発疹が持続し, リンパ節腫脹は12例 (3.0%) に認められた. 麻疹・風疹二混生ワクチンは各単味ワクチン接種と同等の効果と安全性が確認され, 二混生ワクチンは臨床的に有用である.