著者
大﨑 真 武田 利明
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.231-237, 2015 (Released:2016-04-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

点滴による静脈炎発症後の看護ケアとして,症状緩和のために冷罨法が行われているが,冷罨法の目的である炎症抑制効果に関する具体的な検討はなされていない.そこで本研究では,点滴による静脈炎に対し効果的な冷罨法の温度を明らかにすることを目的とし,ラットを用いた実験研究を行った.薬物を投与して実験的にラットの尾部に静脈炎を作製後,薬物注射部位の表面温度を 10℃,15℃,20℃となるよう冷罨法を施行し,罨法を施行しない対照群と肉眼的所見,腫脹について,症状の経過を比較検討した.その結果,腫脹の項目において温度による明らかな差が認められた.したがって,本実験条件下において静脈炎に対する冷罨法の適正温度は 20℃であると考えられた.
著者
大﨑 真樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.153-163, 2019-09-01 (Released:2019-11-27)
参考文献数
42
被引用文献数
1

急性期循環管理の基本は酸素消費に見合った酸素供給を行うことである.なかでも先天性心疾患は呼吸と循環が密接に結びついており,呼吸循環の相互作用と生理学の理解が必要不可欠である.また同じ病名であっても患者ごとに血行動態に差異があり,各個人に合わせた循環管理を行う必要がある.しかし酸素消費と供給のバランスを整えるという原則は同じであり,体温管理・鎮静鎮痛・人工呼吸などで酸素消費を,血管作動薬,肺体血流比制御,ペーシングなどで酸素供給をコントロールする.これらの評価・介入は手術前後であっても基本は同一である.また重症児の治療においては神経・感染・栄養などの全身管理も非常に重要であり,患者管理を担当する者はこれらにも精通していなければならない.「循環器集中治療」は小児循環器のなかの「急性期管理の専門分野」として認識すべきsubspecialtyである.