著者
天正 市蔵 山田 春雄
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.311-315, 1973

今年のスキーシーズンは終ったが,久しぶりにスキーをしようと,スポーツ店をのぞかれた方は,まずスキー板のデザインがはでになったことに驚かれたことだろう。さらに,もし注意深くスキーの内部構造を数年前のそれと比較されたら, もっとびっくりされたことだろう。スキーの材料といえば, かつては木材に決まっていたが,現在では木材を全然使わないスキーが出現している。スキー靴についてもしかりで,天然皮革を全然使っていないプラスチック製の靴が店頭を飾っている。かように,ここ数年の運動用具の変化はとくに激しいものがある。マラソンのはだしの王者アベベのような例外は別として,スポーツ用具を使わないスポーツは皆無といっても過言ではない。そしてスポーツ用具の進歩は,記録の向上やスポーツの進歩に一役買っている。たとえば,グラスファイバー製の棒高とびのポールは, 記録を大幅に更新してしまった。ここではプラスチックが, スポーツ用具にどのように利用されているかを中心に話を進める。