著者
益川 弘如 白水 始 齊藤 萌木 飯窪 真也 天野 拓也
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-44, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
29

一つの文章を複数の要素に解体・再構成して全体を捉える「積極的読み」は大学生活で必須の認知活動だが,その難しさゆえに大学入試で問われても入学志望生はテストワイズネスを利用した浅い処理で対処しがちである.本研究は,解決過程の制御と記録というCBT の利点を生かし,積極的読みを求める典型としての東大入試国語問題を対象に,問題文全体の読解・要素抽出・関連付けを促すCBT を開発,統合的課題解決に及ぼす効果を検証した.この「改変版」と入試問題をCBT に移し替えた「従来版」を用意し,積極的読みの経験が異なる二層の参加者計79 名で実験を行ったところ,読解経験の少ない中堅大学生では従来版の統合課題成績が改変版を上回り,進学校生ではそれが逆転する有意な交互作用が得られた.設問解答とログ分析から,同程度の成績でも中堅大学生の従来版では傍線部付近の書き写し,進学校生の改変版では自らの言葉による再構成が把握でき,CBT の読解支援・評価両面の可能性がうかがえた.