- 著者
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天野 智水
- 出版者
- 日本高等教育学会
- 雑誌
- 高等教育研究 (ISSN:24342343)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.151-170, 2015-05-30 (Released:2019-05-13)
- 参考文献数
- 15
本稿は国立大学教員の昇給と勤勉手当制度を取り上げ,主として部局長および学科等の長を対象とした質問紙調査の方法により,その決定方法と基準に関する実態と,組織長たちの問題意識を探った.その結果,全体として昇給・勤勉手当は教員の活動・業績を幅広く,地域貢献を除いて概ね等しく反映させて決定されていたこと,および,その決定に際しては教員集団による審議や,学科等の基礎組織の長が与える影響は小さく,部局長の判断がはるかに大きな影響を及ぼすという実態が明らかになった.また,問題意識の分析からは,部局ではなく学科等レベルに相対評価を持ち込むことは,業績主義にとって重大な問題となりうることがうかがえた.こうした結果を踏まえ,教員給与制度の現状とあり方について考察を行った.