著者
天野 芳二 牧野 玲子 井上 勇
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.293-295, 2001-04-20
参考文献数
9

15カ月齢のロシアン・ブルー種去勢雄猫に全身性の落屑がみられた。落屑は特に背部に多かったが、食欲の変化や掻痒はみられなかった。浮遊法による糞便検査で多数の毛包虫が検出されたため、皮膚の掻爬検査を行ったところ全身から多数の毛包虫が検出された。アミトラズ(700倍液)による薬浴と、イベルメクチン400μg/kgの皮下注射および経口投与を併用した結果、治療開始第54病日には毛包虫は検出されなくなった。また同時に落屑も治療開始後から減少し始め、第98病日にはみられなくなった。分離された毛包虫は、大型で体長111.6μm、後胴体部長49.1μmと小型で体長77.4μm、後胴体部長30.9μmの2型がみられた。これらはDemodex catiの形態と異なり体長および後胴体部長が短く、また後胴体部後端が鈍であり、海外で報告されている未同定種と同様であると思われた。