著者
太田 信義
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.27-34, 2020

「人生100年時代」においては,現役引退後にも長いシニア時間が待っている。充実した後半生として,どう過ごしていくのか。今や,誰にとっても重要なテーマとなってきている。 本稿は,このテーマについて,これまでの仕事・研究人生を振り返りながら,その生き方・考え方をまとめたものである。現役時代を「ものづくり技術者」として打ち込んだ筆者は,引退後に大学院で社会科学研究に打ち込む。博士論文を仕上げ,単著書として出版した後も,研究を続けている。 冒頭のテーマに対して,筆者のたどり着いた答えは,「シニア時間を知的に楽しむ」である。「働・学・研」で学びとった知識と豊富な経験とを融合させ,頭脳を働かせ,創造性ある考え方で時代の変化に対処し,楽しんでいくこと,である。どう実践していけるか,継続していけるか。そして,どう楽しめるか。それは,次に待つ大きな課題でもある。
著者
太田 信義
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.616-623, 2005-08-05

標準的な宇宙模型によれば, ビッグバン後の宇宙初期にはインフレーションと呼ばれる大きな宇宙膨張の時期があったと考えられている.この振舞は一般相対論と素粒子の理論を用いて説明されるべきものと考えられるが, 超弦理論あるいはその現代版であるM理論ではそのような振舞は許されないという禁止定理がある.本稿では, インフレーションの概略をまとめた後, この禁止定理はどのようなものかを説明し, それを乗り越えて最近進展したインフレーション宇宙の現状について解説したい.