著者
吉村 英翔 太田 光祐 田渕 研
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-9, 2021 (Released:2022-06-20)
参考文献数
18

オオスズメバチ Vespa mandarinia の個体数と植生タイプおよびその面積との関係を利用して,越冬メス(営巣前の女王)とワーカーの個体数予測モデルを作成した.越冬メスの個体数は,半径 900 m 以内の天然林や二次林を含む森林面積によって正の影響を受けた.一方,ワーカー個体数は半径 300 m 以内の森林と針葉樹林で構成されている植林地と正の関係があり,牧草地とは負の関係にあった.この有効空間スケールと植生タイプ,その面積の違いは,越冬メスとワーカー間で採餌活動の範囲や意図が異なることを反映していると考えられる.ワーカーの個体数予測モデルを用いて,東北農業研究センター周辺地域(盛岡市西部と滝沢市)におけるオオスズメバチの生息域を地図化した.このような地図は,将来,蜂による刺傷被害の危険地域を示すハザードマップの開発につながるだろう.