著者
林 長閑
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.141-152, 2007-12-28

この検索表は日本において食品,衣類,家具などに見出される甲虫目の幼虫について科まで同定できるようにした.34科を取り上げたが,その中にはエンマムシ科のように捕食性があり害虫の天敵として有益なものも含まれる.
著者
三浦 大樹 田近 五郎
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.85-88, 2009-12-28
被引用文献数
1

封水トラップは排水管内の悪臭や害虫などの室内侵入を防止するための設備である.今回,「わんトラップ」を模した実験装置を用い,5種類の害虫について,封水トラップが通過できるかどうかを検証した.その結果,クロゴキブリとチャバネゴキブリは日本工業規格や建築基準法に定められた封水深5cmを通過した.一方,オオキモンノミバエ,キイロショウジョウバエ,イエバエの3種は封水がされていれば基本的に通過できないことが確認された.
著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.9-12, 2020 (Released:2021-06-20)
参考文献数
22

2002 ~2019 年に東京都港区の18 ヵ所においてアオドウガネ成虫の食餌植物38 科62 種を記録した.既存の報告による本種の食餌植物は22 科34 種であった. 両者の記録に重複した4 科4 種を除いた本種の食餌植物は56 科92 種となり,広食性であることを確認した.また,本種が都市環境で増えている要因として,有毒植物への嗜好性を示唆した.
著者
田村 正人
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-120, 2003-11-29

広義の食用昆虫には家屋害虫も少なくない.昆虫を適正に食べることは,動物性たんぱく(蛋白)資源の有効利用や害虫防除にもなるので,日本の代表的な食用昆虫,コバネイナゴ・クロスズメバチ・タマムシ・シロスジカミキリおよびアブラゼミ等の生態について述べた.三宅(1919)によると,日本の食用昆虫は8目55種で,最も多かったのはハチ目の14種,次いでチョウ目の11種,バッタ目の9種,甲虫目の8種などが多かった.薬用昆虫は10目123種にのぼり,最も多かったのは甲虫目の32種で,次いでチョウ目の26種,以下,順にカメムシ目の12種,ハチ目の9種,トンボ目の7種,バッタ目とハエ目の各6種,カマキリ目の4種などへと続く.いなご(蝗)は,全国の都府県で等しく食べられる国民的な食用昆虫で,かつては農村における秋の風物誌であった「いなごとり」も,強力な殺虫剤等の出現によって1950年代以降激減したが,1980年頃より水田をとり巻く環境の変化によってコバネイナゴが全国的に再び大発生の傾向にある.その後,飽食の時代を迎えた日本国民の関心は次第に「医食同源」に向いつつあるように思われる.いなごに次いで「蜂の子」が過半数の都道府県で食べられているのは,蜂類は社会性昆虫で,一度に大量入手が可能なためと思われる。昆虫は栄養価が高く,強壮剤として用いられるほか,薬用としては小児の疳(かん)に効くのが最も多い.現在,各地で人が食べている昆虫は,長い間の経験に基づいて伝承されて来たものであるからまずは食べられる昆虫と言えるが,できるだけ新鮮なものを食べ,安全性には充分配慮する必要がある.
著者
大野 正彦 花岡 [キヨシ] 関 比呂伸 大貫 文
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-117, 2011-12-20

カベアナタカラダニ(Balaustium murorum)はわが国の都市部における不快害虫である.住民はこのダニの害,特に刺されることを心配している.このダニが人を刺して痒みや皮疹を起こすのか明らかにするため,人の皮膚に6ないし24時間接触させ,その後の皮膚の状態を観察した.生きているダニは痒みを起こさず,刺したり皮疹を生じさせたりすることはほとんどないと考えられた.しかし,潰したダニを24時間接触した被験者に赤い皮疹が生じた.ダニの体液が皮膚障害を発生させたと思われた.ダニを潰してその体液を皮膚に付けないよう注意する必要がある.
著者
宮ノ下 明大
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-34, 2005-10-30
被引用文献数
7
著者
中北 宏
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-17, 2009-08-23
被引用文献数
1
著者
田中 誠
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.86-90, 1991-12-20

和本や和紙などが虫害を受けやすいことは昔からよく知られている。その対策には古くから頭を痛めていたようで,さまざまな防除法が工夫されている。古来の防除法の主要なものには,紙を防虫効果のある染料で染色する方法と,防虫効果のある植物などを本に挟んだり書箱に入れたりする方法とがあった。ほかに環境的な対策として曝書(ばくしょ)(虫干し)や香料の利用がある。また,本を保存する箱や帙(ちつ)を防虫効果のある木(クスなど)で作ったり,紙そのものをクララなどの毒草で漉くようなエ夫もなされていた。ここでは,江戸時代以前に行なわれていた主要な防除法のうち,植物(植物質)を利用した例について,そのあれこれを紹介してみたい。
著者
田中 和夫
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.123-136, 2003-11-29
被引用文献数
1

チャタテムシ(茶柱蟲)の中には障子にとまって音を出すものがあり(コチャタテなど),その音が抹茶をたてるときの茶筅の音に似ているということから,この名がついた.シラミやハジラミ類に近縁の昆虫で,世界に3,000種以上,日本には1996年末現在で20科,47属,92種が知られているが,まだ充分研究されてなく,続々新しい種が追加されている.屋内害虫と言えるものは,今の所17種である.屋内害虫としてのチャタテムシは,往々大発生し,微小なため気付かれずに,注射薬のアンプルやクリーン・ルームに至るまで,色々な場所に紛れ込んで,所謂混入害虫として最も重要な地位を占めている.
著者
上村 清
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-54, 2004-05-31
被引用文献数
2

蚊は,日本から100種余り記録されているが,衛生上重要な種は限られている.主な媒介蚊であるアカイエカは下水溝よどみ,雨水ますなど,チカイエカは地下の湧水槽など,コガタイエカとシナハマダラカは水田,湿地,ヒトスジシマカは放置タイヤ,花立,竹筒,空缶などから発生する.蚊に刺されて痒いのは即時型のアレルギー反応である.雌成虫は通常1ヶ月ほど生き,一生に3〜4回吸血して産卵するが,再吸血時にマラリア,フィラリア症,西ナイル熱,日本脳炎,デング熱,黄熱などの感染症を媒介する.これら感染症はいずれも日本でも流行することが危惧され,その早急なる対応が望まれる.蚊の感染症対策は,対象種が発生しないように発生源対策をするのが効果的で,また,国外から持ち込まないようにし,蚊に刺されないようにすることである.
著者
大澤 貴寿
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-5, 1991-07-20

都市衛生害虫として衛生面から問題となっているチャバネゴキブリの防除は大きな課題である。その駆除には有機合成薬剤の噴霧やトラップによる方法に頼っており,より安全に効果的に防除するのは難しい現状にある。これに対し,生活環境内に積極的にゴキブリを寄せつけない物質,すなわち忌避物質を用いて駆除する研究も行われてきている。ゴキブリの忌避物質として,Deet (N, N-diethyl-m-toluamide)など多くの合成薬剤が報告されているが,実用性及び安全性の面から問題もある。稲塚はハッカやスペアミントの精油に含まれるテルペン化合物に臭覚的忌避効果のあることを報告している。著者らはインドネシア産の数種植物の精油に忌避活性を見いだし,それらに含まれる忌避成分の精製と単離を試みた。さらにそれらの関連化合物の忌避性についても検定した。
著者
大野 正彦 関 比呂伸 花岡 暭
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.7-13, 2015 (Released:2020-02-22)
参考文献数
12

カベアナタカラダニは,東京において春から初夏にかけて家屋の壁面,庭,建物屋上を這い回り,住民に不快感を生じさせる.このダニの効果的な防除方法を知るため,建物屋上と地上において産卵場所を調べた.屋上では防護壁と床面の間から多数の卵を採集した.また,地上でもコンクリート壁の割れ目から多くの卵を採集した.壁の割れ目の内部に塊状に産みつけられた卵がみられた.壁に生じた間隙や割れ目が主要な産卵場所と思われた.
著者
今村 太郎 宮ノ下 明大 楡木 真弓 古井 聡
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-14, 2018 (Released:2020-02-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

沖縄本島の精米施設において,玄米を用いたベイトトラップで貯蔵食品害虫とその天敵を調査した.トラップ設置期間は2014年9月1日から17日であった.ガイマイツヅリガ,コクヌストモドキ,チャタテムシ,コメグラサシガメが採集された.コメグラサシガメは日本では1999年に採集されたという報告があるだけであり,それ以来の記録となった.
著者
岩田 隆太郎
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.25-27, 1991-07-20

In an apartment building in Yokohama, Japan, a brood of Stenhomalus taiwanus MATSUSHITA (Coleoptera: Cerambycidae: Cerambycmae) was observed to infest a kitchen pestle made of a stem of Japanese prickly ash, Zanthoxylum piperitum (L.). Adult emergence was observed indoors firstly in late summer to early autumn, and then in next spring.