著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.9-12, 2020 (Released:2021-06-20)
参考文献数
22

2002 ~2019 年に東京都港区の18 ヵ所においてアオドウガネ成虫の食餌植物38 科62 種を記録した.既存の報告による本種の食餌植物は22 科34 種であった. 両者の記録に重複した4 科4 種を除いた本種の食餌植物は56 科92 種となり,広食性であることを確認した.また,本種が都市環境で増えている要因として,有毒植物への嗜好性を示唆した.
著者
木村 悟朗 富岡 康浩 矢口 昇 谷川 力
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.127-131, 2011-12-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

東京都豊島区内の異なる2つのアパートの1室において,トコジラミCimex lectulariusの物理的防除と化学的防除を行った.前者の防除法としてスチームクリーナーを使用し,後者として殺虫剤を使用した.スチームクリーナーを使用した1室では,試験期間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫227個体,成虫52個体,合計279個体であった.また,処理6日後の日平均捕獲数は減少したが,その後は急激に増加し,処理14日後には処理前と同程度の捕獲数に達した.一方,殺虫剤を使用した1室では,試験間中に捕獲したトコジラミの総個体数は,幼虫7個体,成虫5個体,合計12個体と少なかった.また,試験期間中の日平均捕獲数は減少し続けた.処理後の増加パターンの違いは,トコジラミに対する残効性の違いが主な原因であると推察される.
著者
大野 正彦 花岡 [キヨシ] 関 比呂伸 大貫 文
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-117, 2011-12-20

カベアナタカラダニ(Balaustium murorum)はわが国の都市部における不快害虫である.住民はこのダニの害,特に刺されることを心配している.このダニが人を刺して痒みや皮疹を起こすのか明らかにするため,人の皮膚に6ないし24時間接触させ,その後の皮膚の状態を観察した.生きているダニは痒みを起こさず,刺したり皮疹を生じさせたりすることはほとんどないと考えられた.しかし,潰したダニを24時間接触した被験者に赤い皮疹が生じた.ダニの体液が皮膚障害を発生させたと思われた.ダニを潰してその体液を皮膚に付けないよう注意する必要がある.
著者
大野 正彦 関 比呂伸 花岡 暭
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.7-13, 2015 (Released:2020-02-22)
参考文献数
12

カベアナタカラダニは,東京において春から初夏にかけて家屋の壁面,庭,建物屋上を這い回り,住民に不快感を生じさせる.このダニの効果的な防除方法を知るため,建物屋上と地上において産卵場所を調べた.屋上では防護壁と床面の間から多数の卵を採集した.また,地上でもコンクリート壁の割れ目から多くの卵を採集した.壁の割れ目の内部に塊状に産みつけられた卵がみられた.壁に生じた間隙や割れ目が主要な産卵場所と思われた.
著者
今村 太郎 宮ノ下 明大 楡木 真弓 古井 聡
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-14, 2018 (Released:2020-02-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

沖縄本島の精米施設において,玄米を用いたベイトトラップで貯蔵食品害虫とその天敵を調査した.トラップ設置期間は2014年9月1日から17日であった.ガイマイツヅリガ,コクヌストモドキ,チャタテムシ,コメグラサシガメが採集された.コメグラサシガメは日本では1999年に採集されたという報告があるだけであり,それ以来の記録となった.
著者
長田 庸平
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.31-34, 2021 (Released:2022-06-20)
参考文献数
22
被引用文献数
1

東洋区や台湾由来の外来種であるキマダラカメムシ(カメムシ目カメムシ科)は,近年国内では本州,四国,九州地方の広い範囲で分布拡大をしている.バラ科樹木の害虫としてだけでなく,不快害虫としての側面も持つ.この種の東京都区部における分布情報をここに示した.
著者
吉村 英翔 太田 光祐 田渕 研
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-9, 2021 (Released:2022-06-20)
参考文献数
18

オオスズメバチ Vespa mandarinia の個体数と植生タイプおよびその面積との関係を利用して,越冬メス(営巣前の女王)とワーカーの個体数予測モデルを作成した.越冬メスの個体数は,半径 900 m 以内の天然林や二次林を含む森林面積によって正の影響を受けた.一方,ワーカー個体数は半径 300 m 以内の森林と針葉樹林で構成されている植林地と正の関係があり,牧草地とは負の関係にあった.この有効空間スケールと植生タイプ,その面積の違いは,越冬メスとワーカー間で採餌活動の範囲や意図が異なることを反映していると考えられる.ワーカーの個体数予測モデルを用いて,東北農業研究センター周辺地域(盛岡市西部と滝沢市)におけるオオスズメバチの生息域を地図化した.このような地図は,将来,蜂による刺傷被害の危険地域を示すハザードマップの開発につながるだろう.
著者
大野 正彦 関 比呂伸 花岡 暭
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.7-13, 2015

<p>カベアナタカラダニは,東京において春から初夏にかけて家屋の壁面,庭,建物屋上を這い回り,住民に不快感を生じさせる.このダニの効果的な防除方法を知るため,建物屋上と地上において産卵場所を調べた.屋上では防護壁と床面の間から多数の卵を採集した.また,地上でもコンクリート壁の割れ目から多くの卵を採集した.壁の割れ目の内部に塊状に産みつけられた卵がみられた.壁に生じた間隙や割れ目が主要な産卵場所と思われた.</p>
著者
宮ノ下 明大
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.147-161, 2011-12-20
参考文献数
9
著者
曲山 幸生 古井 聡 今村 太郎 宮ノ下 明大
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-9, 2017 (Released:2020-02-22)
参考文献数
21

昆虫の体サイズは生物種,あるいは集団として,重要な特徴の一つであると考えられている.体長は試料調整の影響を受けにくく,代表的な体サイズの指標である.しかし,従来の手作業による体長測定は手間がかかるために,十分なデータ数を得るために長い時間がかかっていた.そこで,本研究では,画像解析技術を用いて,ゾウムシ類成虫の体長分布を半自動的に測定する方法を開発した.本方法により,体長分布測定の作業時間が短くなったことに加えて,十分に大きなデータ数を容易に収集できるので,非対称性など体長分布の形状について詳細に検討することが可能になった.
著者
谷川 力
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.199-201, 2011-12-20
著者
谷川 力
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.51-53, 2011-06-20
被引用文献数
1
著者
福冨 友馬 安枝 浩
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-42, 2011-06-20
参考文献数
28

本稿では,ハウスダスト中のダニと昆虫のアレルゲンとヒトのアレルギー疾患の関係を解説した.ハウスダストは多くの患者にとってアレルギー疾患の発症原因であり,かつ増悪因子である.しかし,ハウスダストは極めて多種のアレルゲンの混合物であり,家屋により優位なアレルゲン種も異なり,個々の患者が影響を受けているアレルゲンは異なっている.ダニアレルゲンは,国際的に最も重要な気管支喘息,アレルギー性鼻炎の原因アレルゲンである.多くの研究が,室内環境中のダニアレルゲン量の増加が,喘息の発症と増悪の原因であることを示してきた.アメリカをはじめとする多くの国々で,ゴキブリアレルゲンはダニと同等に重要な室内環境アレルゲンと考えられている.しかしながら本邦の室内環境では,ゴキブリアレルゲンはほとんど検出されず,ゴキブリ感作率も低い.むしろ,本邦の室内塵を調査するとチャタテムシ目や双翅目,鱗翅目などのほうが頻繁に検出され,本邦ではこれらの昆虫の方が重要性が高いと考えられている.