- 著者
-
太田 勇夫
鳥井 秀一
- 出版者
- 日本茶業学会
- 雑誌
- 茶業研究報告 (ISSN:03666190)
- 巻号頁・発行日
- vol.1960, no.15, pp.77-80, 1960-06-30 (Released:2009-07-31)
- 参考文献数
- 4
以上の実験の結果から,この方法がカフエインの微量定量法として実施できることがわかつたので,その操作法を次に述べる。茶葉粉末0.5gを小型蒸発皿にとり,5%炭酸ナトリウム溶液0.5mlを加えて潤し,1時間放置後,前報の抽出器に移し,クロロホルムを加えて2~3時間抽出する。この抽出液を25mlに定容して試料液液とする。泳動口紙はあらかじめホウ酸ナトリウム溶液でしめし,600Vで5~10分間電流を通しておく,一たん電流を止めてから,前記試料溶液の0.05~0.1mlを原点からあまり広がらないように付けて3時間泳動を行なう。泳動を終つた口紙は乾燥(あまり高温にしない)し,暗所で紫外線を照射して暗点を検出し,その位置に鉛筆で印をつけておく,その前後約3cm幅の口紙を図4のような形に切り,脱脂綿を詰めたガラス管のサイフォンに連結し,温水で毎分1滴の速度で抽出して5mlに定容する。この溶液の272.5mμと305mμの吸光度を光電分光光度計で測つて,305mμの吸光度から口紙の不純物による272,5mμの吸光度を(2)式で算出して可検液の272.5mμの吸光度から差し引く。この値はカフェインに基づく吸光度になるから,これを(2)式に代入すれば可検液のカフェイン濃度がppmとして求められ,これを茶葉の乾物%に換算する。この方法はカフェイン量で10~40μg,試料溶液で0.05~0,1mlという微量で定量でき,操作時間も現行法とほほ同じくらいで,労力はずつと少なくてすむから,カフェインの微量定量法として推獎できる。ただ口紙に滴下する可検液量が0.05~0.1mlという小量であるため,精密なミクロピペットと正確な技術が要望される。現行法に比べ,ときに変異係数の大きくでるのはおもにこの点GC原因するのではないかと思われる。なお今後クロロホルムによる茶葉からの抽出液を5~10mlに定容できるようにすれば,茶葉1枚程度の試料で定量も可能と思われる。終わりに,紫外線フィルターを分与下さつた,理化学研究所,岩瀬研究室に厚くお礼を申し上げる。