- 著者
 
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             太郎 丸博
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 日本社会学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 社会学評論 (ISSN:00215414)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.57, no.1, pp.41-57, 2006-06-30 (Released:2009-10-19)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 21
 
          
          
          - 被引用文献数
 
          - 
             
             1
             
             
             
          
        
 
        
        
        1970年ごろに米国で発達した理論構築の考え方は, 理論に対する1つのアプローチを確立した.しかしそれは, 学説研究の価値を不当に低く評価することになっている. Laudanの議論に従えば, 研究伝統の抱える概念的問題を解決したり, 社会学全体を見渡して複数の研究伝統の発展の歴史を概観したり, その長短を判断することを通して, 学説研究は理論を発展させることができる.さらに研究伝統を深く学ぶことで, 解くべき問題をしばしば発見することができるし, 概念的問題の解決の手がかりも, しばしば学説の中にある, しかし, 学説だけを研究しても理論の発展は難しい.概念的問題は経験的問題と密接に連動しており, 経験的問題の解決は, データの収集・分析と不可分に結びついている.概念的問題と経験的問題を同時に追求しなければ, 理論の発展は困難である.理論を発展させるためには, 既存の研究伝統を深く学ぶと同時に, 何らかの経験的問題を追求することが必要である.そのためのコツをあえていうならば, デリベーションと「よい」集団に属して研究することが考えられる.