著者
中田 喜之 大澤 幸生 吉野 貴晶 杉江 利章 夷藤 翔 西川 遥輔 小島 湧太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.54-60, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

株式市場においては、価格変動の説明要因となるファクター等の属性を基に投資を行う投資家が多い。このため、市場の先行きに対する投資家の心理が、これらの属性を持つ銘柄物色に反映される可能性がある。本研究では、株式市場における銘柄物色の変化から株式インデックスのトレンドの変化点を検知する手法について検証した。株価推移の類似性が高い銘柄同士を結合して作成したグラフに対して、Graph Based Entropy の手法を適用することで、属性ごとの銘柄の物色変化と、株式インデックスのトレンドの関係性について、検証した。TOPIX 500、S&P500、STOXX® Europe 600 の 3 つの株式インデックスに対して検証を行った結果、株式インデックスのトレンドの変化点において、 それぞれ共通して、Graph Based Entropy が特徴的な変化をすることがわかった。
著者
夷藤 翔 中村 信弘
出版者
一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会
雑誌
ジャフィー・ジャーナル (ISSN:24344702)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.45-66, 2019 (Released:2019-04-18)

本研究では,Christoffersen et al. (2012)が扱ったダイナミック非対称tコピュラについて,Aielli (2013)のcDCCとの整合性が担保されるようにモデルを改善し,そのモデルに基づき,新興国国債市場の相互依存構造の動的特性を研究する.実証分析で焦点を当てる点は,(1)相関行列の時変性,(2)分布の裾での相互依存構造,その上下非対称性に関する有意性,(3)コピュラの違いが新興国国債ポートフォリオのパフォーマンスに与える影響,(4)高次モーメントを考慮した新興国国債ポートフォリオの構築によるパフォーマンスの改善可能性と為替変動リスクのヘッジの有無による影響,などである.これらの研究結果から,高次モーメントを考慮した為替ヘッジ付き新興国国債ポートフォリオの構築により,分布の裾や上下非対称な相互依存構造による負の影響を受けないことが明らかとなった.加えて,為替変動リスクをヘッジしない場合に比して相関が大きく低下することで高い分散投資効果を享受し,さらには,高次モーメントの踏まえた投資配分の決定により,相対的に高いパフォーマンスを得られる,という示唆を得た.