著者
奈尾 信英
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.3-8, 2004-06-01
被引用文献数
1

本研究は, イタリアの盛期ルネサンスを代表する建築家の一人バルダッサーレ・ペルッツィが1533年に描いた「サン・ピエトロ大聖堂の計画のための鳥瞰図」を分析対象とし, ルネサンス期のイタリアにおける透視図法の展開過程を考察したものである.考察手順は以下の通りである.1) この図における消点を推定し, それにもとついてこの図を描く際に用いられたであろう作図線を推定復元する.2) イタリアの建築家ジャコモ・バロッツイ・ダ・ヴィニョーラ (1507年-1573年) の著作『実践的透視図法に関する2つの解法』 (1583年) のなかで, ペルッツイの透視図法について記述された文章を鑑み, ペルッツイの作図法を想定する.考察の結果, ペルッツイの用いた作図法は対角線を用いて, さきに描く図そのものの上下寸法を設定することによって, 必然的に図の横寸法が確定される方法であったと考えられる.
著者
奈尾 信英
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.3-8, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16

本研究は, ルネサンス初期に活躍した芸術家兼技術者の一人マリアーノ・タッコラに着目し, 彼の『技術論』に描かれた図の表現方法を分析・考察し, さらに, 前遠近法的作図法の解明を行うものである.分析手順は, 以下に示す通りである. (1) 『技術論』に描かれたすべての図を比較し, その図的表現を考察する. (2) 『技術論』I-IIの73葉 [表] の階段図に焦点を当て, この図を描くために用いられた作図法を解明する.その考察の結果, 以下のような結論が導き出された. (1) タッコラは, 塔や建物を空間のどの場所に配置したとしても, 塔は遠近法風に, 建物は斜軸測投象風に描いていることがわかった. (2) タッコラは, 奥行き方向の距離の値が定められない前遠近法的作図法の理論を用いて, 階段図を作図していることがわかった.さらに, この階段図から判断して, タッコラが交友関係のあったブルネレスキの正統作図法を用いていない.