著者
田中 菜美子 奈良間 美保
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.41-48, 2011

本研究は、新生児が亡くなる過程における母親の反応を、母性の特徴に注目し看護者の認識を通して明らかにすることを目的とし、生後30日以内に死亡した新生児または新生児を亡くした母親を2年以内に受け持ったことがある看護者6名に半構成面接を行った。分析の結果、以下の9カテゴリーが抽出された。児の生前は【我が子との愛着を育てる】【困難な状況の中で母親役割をとることで自分を保つ】【児とかかわることでケアを自らするようになる】【児と家族になろうとする】【医療従事者に頼らざるを得なくなる】【死が迫っていることにショックを受けながらそれでもできることをする】反応を示し、児の死の直後から、【児との結びつきを振り返りつながりを求める】【児を想起することから距離をとる】【来た道も行き先も分からないまま今をなんとかすごす】反応が見られたことから、看護者は母親が児の親でいられるかかわりをする必要があることが示唆された。
著者
都築 知香枝 石黒 彩子 浅野 みどり 三浦 清世美 山田 知子 奈良間 美保
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-31, 2006-03-20 (Released:2017-03-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

目的:(1)AD児をもつ母親の生活困難度,育児ストレスについて非AD児の母親との比較を行なう。(2)ADの疾患特性,生活困難度が,育児ストレスにどのように関連しているかを明らかにする。方法:2〜6歳のAD児の母親と非AD児の母親を対象に,属性,生活困難度,Parenting Stress Index(PSI)の質問紙調査を実施した。年齢について1対1対応でペアマッチングさせ,AD群,対照群ともに121組を解析対象とした。実施に際し,学内の研究委員会の倫理審査で承認を得た。結果:1)AD児の母親と対照群での育児ストレス総得点の比較において,有意差はみられなかった。2)AD児の母親は対照群に比較して,子どもに問題を感じていた。3)重症である児の母親ほど,子どもの機嫌の悪さや子どもに問題を感じていた。4)合併症の有無と育児ストレスには相関がみられなかった。5)育児ストレスと生活困難度の間には有意な相関が見られた。
著者
深見 直美 奈良間 美保
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.140-148, 2018 (Released:2018-11-30)
参考文献数
13

本研究の目的は、学童・思春期に発症した炎症性腸疾患を抱える子どもの親の体験を明らかにすることである。炎症性腸疾患を抱える子どもの親6名に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。親の体験として【子どもがこれからどうなるのだろうかと、いろいろ考えて不安に思う】、【子どものために、病気と向き合い取り組む】、【食事や生活に制限がある子どもがかわいそうに感じ、申し訳なく思う】、【子どもの思いや考えは、本人でないとわからない】、【子どもの言動や様子から、本人の心情や意向を感じる】などの13のカテゴリーが抽出された。親は、子どもの言動から思いや考えに気付き、子どもを主体として認めかかわる一方で、親自身もさまざまな気持ちを抱く主体としてある体験をしていたことが明らかになり、親をひとりの人として尊重し、自然な感覚を共有できるようにあることが、看護において重要と示唆された。
著者
茂本 咲子 奈良間 美保
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.28-35, 2011
参考文献数
13

本研究の目的は、早産で出生した乳児を養育する母親の育児困難感の特徴と関連要因を明らかにすることである。無記名自記式質問紙調査を行い、平均月齢6.3±2.7か月、平均出生週数31.5±2.9週、平均出生体重1456±478gの早産児の母親と、平均月齢6.2±2.6か月の正期産児の母親各23名の回答を分析した。早産児の母親が認識する育児困難感の中央値は16点で、正期産児と比べて高くなかったが、妊娠中に夫や家族の理解を得ること、夫が育児の相談にのってくれることに対してネガティブに捉えていた。早産児の母親の育児困難感は、夫の心身不調、母親の不安・抑うつ傾向と正の相関、NICU退院後の経過期間と負の相関が認められた。早産児の母親の育児困難感を軽減するためには、早産児との関わりや家族のサポートに対する母親の認識に着目し、NICU入院中から退院後間もない時期に支援を行うことが重要だと考えられた。
著者
奈良間 美保 堀 妙子 山内 尚子 塚本 雅子
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-8, 2001-02-28
被引用文献数
4

本研究は、先天性の疾患により排泄管理を必要とする幼児の日常生活の自立の特徴を、健康児との比較から明らかにすること、また排泄行動の自立の関連要因を明らかにすることを目的とした。排泄管理を必要とする幼児の母親、保育園に通園する健康児の母親を対象に質問紙調査を行い、患児の母親58名、健康児の母親107名の回答から以下の結果を見いだした。1)排泄管理を必要とする患児は、健康児に比較して排泄の自立に明らかな遅れが認められたが、必ずしも生活全般の自立に遅れはなかった。2)導尿などの特殊な処置を行っている患児は、排泄行動の自立の遅れが顕著であった。3)患児が規則的な排便習慣を達成していないことは、排泄行動の自立が遅れることと関係が認められた。4)患児の家族は健康児の家族より、食事内容の調整を積極的に行っていた。家族が食事内容や生活時間を調整することは、患児が規則的な排便習慣を確立することと関係が認められた。