著者
奥原 真哉
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は将来を担う小中学生の自然エネルギーについての学習の一助となり、ものづくりへの意欲と興味の向上に繋がることをねらい、直線翼垂直軸風車を用いた環境教育教材の開発を目的とした。研究内容として簡易製作が可能な直線翼垂直軸風車の工作キットの開発と、それを用いたものづくり教室を開催し、環境教育教材の有効性を検討した。簡易製作型工作キットは風力発電についての教材としては稀である垂直軸風車により開発した。翼型はNACA0018とし、金型を用いた樹脂成形により製作した。その他の部品もりベット等により固定ができる簡易組み立てが可能な構造とすることにより、ヤスリ等の手工具だけで製作することができ、小学生の低学年でも製作が可能な教材となった。また、ひと目で発電を確認できるよう、LEDと電子オルゴールを使用した。LEDは色の異なるものを複数用いることにより風車の出力の大きさを確認できる。ものづくり教室は小中学生を対象に、開発した工作キットを用いて実施した。ヤスリを使用して部品の角の仕上げと発電機やLED、電子オルゴールの配線、部品の組み立て調整を行った後、扇風機を使用して製作した風車の発電を確認する簡単な実験をするという内容で実施した。教材の有効性の検討材料とするため、受講者とその保護者にアンケート調査を行った。アンケート結果は再生可能エネルギー(風力エネルギー)やものづくりに対して関心が深まったという回答が多数であり、総じて良い評価となった。しかし、回転している風車が危険であるという意見もあり、風車キットの改善点も示された。また、開発した教材の製作コストも課題として残った。アンケート結果などから本研究で開発した環境教育教材は小中学生の風力エネルギー利用についての学習の一助となり、環境意識の啓蒙と創造(ものづくり)への意欲・興味の向上に寄与するものになると思われる。