著者
奥田 益美 安田 晃 津本 周作
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.169-177, 2017 (Released:2018-08-31)
参考文献数
29
被引用文献数
1

米国患者満足度調査のHCAHPS調査項目を基に,距離を使う解析により患者満足度の構造のモデル化に必要な解析を試みた.外傷を扱う高度急性期医療提供病院では,コミュニケーション2項目と全体的な評価2項目,「疼痛管理」「清潔さ」の高評価クラスタと,「静かさ」「薬剤情報説明」「スタッフ対応の早さ」の低評価クラスタを示した.その他の病院はコミュニケーション2項目の高評価クラスタとその他項目の低評価クラスタを示した.属性に関わらず対応分析,MDSではコミュニケーション項目は高評価,「静かさ」は中評価,「薬剤情報説明」は低評価が多く,他項目との非類似性を示した.患者満足度の構造は提供医療の特徴により異なっていた.患者満足度研究の多くは全体的な評価への影響要因に焦点を当てているが,項目間の類似性に注目すれば,病院サービスを包括的に捉えることでより患者に近い視点での分析が可能となり,患者中心の医療に繋がると考える.