著者
上岡 由華 奥田 美香 名越 恵美
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
no.27, pp.57-65, 2021-03-12

本研究の目的は、緩和ケア病棟看護師の倫理的関心と「その人らしさの尊重」に関する看護実践を明らかにすることである。研究参加の同意が得られた緩和ケア病棟に勤務する一般看護師13 名を参加者とし、半構造化面接で得たデータを質的帰納的に分析した。その結果、看護師の倫理的関心と「その人らしさの尊重」の看護実践は【患者の存在と歴史を認識】【患者の人としての生活へよせる関心】【その人らしさへ接近するための基盤づくり】【患者に反映されている思いへの接近】【意図しないその人らしさの把握】【共通認識のための情報共有】【患者の希望を叶えるための寄り添い】【患者・家族の優先度の調整】の8 カテゴリーで構成され、[基盤づくり]と[接近と介入]の2 局面が導き出された。これらは看護の基盤となる、関係性の倫理に基づく関心とケアリングであった。「その人らしさの尊重」をするために実践能力を磨くだけではなく、患者に接近できるなど患者の本質を理解する力を養う必要性が示唆された。