著者
奥田 順也
出版者
教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:18802621)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-21, 2019 (Released:2021-04-30)

現在,日本の小学校低学年の音楽科の器楽の学習では,鍵盤ハーモニカを扱うことが主流となっている。音楽の教科書や鍵盤ハーモニカに関する文献,先行研究を見ると,この楽器の演奏技能の1つである「タンギング」を小学校低学年に指導する捉え方を,「必要がある」と「必要がない」の2つに大きく分けることができる。しかし,奥田(2017)がこれらを分析したところ,この演奏技能の是非を問う記述は,低学年の子供が行った演奏などから得られたデータをもとに検証したようなものではなかった。 そこで本研究では,小学校低学年の鍵盤ハーモニカのタンギングの指導に関する基礎研究の1つとして,小学校2年生の子供たちの演奏を事例とした「息の流れ」を観点とする調査を行い,その結果を分類することで大きく3つのタイプを見出した。そして,タンギングを習得する前に「一息で吹く演奏」を定着させる,息の流れを優先するスモールステップによる段階的な指導を行うことを提案した。