著者
奥野 陽 萩原 将文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.36, pp.1-6, 2009-03-18
被引用文献数
9

本論文では,インターネットを用いた日本語入力システムを提案する。従来の日本語入力システムはインターネットが普及する以前の状況を前提に開発されてきた。一方で,近年の Web アプリケーションの台頭に見られるように,クライアントサイドの機能をサーバーサイドに移す動きが顕著である。提案システムはインターネットのメリットを最大限に活用するため,インターネットを通してサーバー側で変換を行う。インターネットを用いることで,次のような利点がある。(1) Web 上の文章から抽出された大規模な統計量を用いることができる。(2) サーバーサイドの豊富なハードウェアリソースを利用できる。(3) ユーザーが登録した単語を共有することで,専門用語や流行語などの単語を変換できるようになる。提案システムの評価を行うため,初心者ユーザーを想定して文章を入力する評価実験を行った。実験の結果では,提案システムは Microsoft Office IME 2007 と比べて入力時間が平均 21%,キータイプ数が平均 26% 削減された。In this paper, we propose a Japanese input system based on the Internet. The advantages of usage of the Internet are the following three merits; (1) The large-scale statistic extracted from the Web can be used; (2) the rich hardware resource of the server-side can be used; (3) the words such as a technical term or the vogue word can be converted by sharing the words that users registered. From the result of the experiments, as for the proposed system, an average of 21% in input time and 26% in the number of the key types were reduced in comparison with the Microsoft Office IME 2007,