著者
平戸 政史 高橋 章夫 渡辺 克成 風間 健 好本 裕平
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.205-213, 2008-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
26

脳卒中後疼痛(以下,視床痛)の出現には,視床感覚核脳血管障害病変および病変周囲構造の機能再編が大きな要因であることが示唆されるが,その病態は複雑で,症例により異なるため治療は難しい.29例の視床痛患者に対する脊髄,大脳皮質運動野刺激術,脳深部(視床,内包後脚)破壊,刺激術など,種々の手術結果より外科治療法の選択について検討した.視床痛に対しては,個々の例で脳深部記録,機能画像法などの手法を用いた詳細な病態解析を行い,視床感覚核疼痛関連構造における異常活動部位,変化および皮質への影響などを把握して,病態に応じた機能異常の是正を行うことが大切である.
著者
関 優子 清水 立矢 藍原 正憲 山口 玲 相島 薫 好本 裕平 安藤 雅 須藤 高行 対馬 義人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.oa.2021-0018, (Released:2021-09-17)
参考文献数
13

【目的】血管内治療のアクセスルートとなる大動脈弓部の形態がアプローチ時間に与える影響を検討する.評価に際して,単純 CT の 2D 画像から,造影 3DCTA と同等の大動脈弓部の情報を取得できるか検討する.【方法】2017 年から 2019 年に大腿動脈経由で脳血管内治療を施行した連続症例のうち,大動脈弓部を含む CTA を行った 65 名を対象とした.目的血管と大動脈弓(頂部もしくは下縁)のなす角度,大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離を 2D 画像および 3D 画像で計測し,年齢,性別,穿刺部位,アプローチ時間(穿刺時刻からガイディングカテーテル留置後の目的血管造影までの時間),治療方法,疾患名,検査時間,治療部位との関連を後方視的に検討した.【結果】アプローチ時間は平均 24 分であった.2D と 3D の計測では,大動脈弓下縁と分岐血管の角度(r=0.721)と大動脈弓頂部からの距離(r=0.858)で強い相関を認めた.2D 計測にてアプローチ時間と大動脈弓頂部から分岐までの距離においては正の相関を認めた(r=0.478).また,大動脈弓と目的血管分岐がなす角度には負の相関(r=−0.197)を認め,大動脈弓下縁との分岐角(r=−0.298)がより相関が強かった.【結論】2D での簡便な計測でも,3D と同等の情報を得ることができる.大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離が長い,または目的血管と大動脈弓下縁のなす角度が鋭角なほどアプローチ時間は長くなる.