著者
孫 勝強
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.123-133, 2004-01-31

1987年にはじめて中国の故宮、万里の長城などがユネスコの「世界遺産リスト」に登録されて「世界遺産」となってから、現時点で(2003年10月現在)文化遺産と自然遺産は全部で29力所となった。筆者は10年前から毎年これらの世界遺産を訪ね歩いてきた。盧山、武当山、承徳、平遥古城及び今年新しく加わった雲南省の三江併流など三ケ所を除いてすべて訪ねた。中には敦煌の旅は四、五回を超えたが、その中で、去年の夏休みに始めて訪ねたチベット・ラサの旅は一年経った今も鮮明に脳裏に焼きつけられて忘れることができない体験であった。チベット語で「神の土地」、日照時間が長いことから「太陽の町」とも呼ばれているラサは、私はいつか行こうと心に決めていたが、そのいつかがようやく実現できたのは2002年の8月だった。それまでに憧れのラサへ行きたいと思ったことが何回かあったが、高山病のことを考えて見合わせた。トレーニングのつもりで、三年前に標高3, 200メートルのシャングリラと呼ばれている中甸を訪問した。二、三日滞在して白水台や松賛林寺などあちこち走り回ったが、何ともなかったので一応自信がついた。続いて二年前の夏に家族と一緒に世界遺産の麗江の玉龍雪山に登った。ロープウエィーのゴンドラで、標高4, 500メートルの地点まで行って、それから一時間半ぐらいかけて4, 900メートルの展望台に登りつめて30分ぐらい写真とビデオを撮ったりした後、下山した。今度も大丈夫だった。この体験でチベットへの旅の決心がついた。断っておくが、この文章は論文でも調査報告でもなく、ただ、私の体験を伝えることが出来れば幸いである。旅行中に日記をつけたので、旅行日記の形で書くことにした。