- 著者
-
宇佐美 こすも
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-24
今年度は学会発表1件、論文掲載2件の成果を得た。学会発表は今年も東大比較文学比較文化研究室主催の大澤コロキアムにて、英語で口頭発表を行った。同研究会には修士進学以来5度目の参加で、毎年刀剣に関する研究発表を行っている。日々の研究活動で英語を必要としない一方で、留学生や海外研究者の関心が高い分野であるので、毎年この機会を活用して外国語でも研究発表ができるよう意識的に練習ができたと思う。本年の大澤コロキアムの発表内容をもとに体裁を整えたものが、本年受理された論文の1つである。英語で日本史の論を展開するにあたって、課題としては古記録の扱い方や古文書等の出典の書き方、専門語に対し適切な翻訳を施すなどいくつかあるが、引き続き練習してゆきたい。本年度に掲載決定したもう一つの論文は、日本美術刀剣保存協会の『刀剣美術』に投稿した。内容は、室町時代の上流階級で贈答されていた刀剣の拵とその使い分けを、日記をもとに明らかにし、それをもとに室町将軍と天皇家・公家との関係を考察したものだ。当初は文献史学系の雑誌に投稿しようと計画していたものの、用語解説や補足説明に紙幅をとられ十分な議論展開ができないと考え日本刀専門誌に投稿した。幸いなことに、既に多くの反響をいただいている。とりわけ刀身の鑑定・鑑賞が主だった刀剣研究を、政治史・文化史に結び付けようとする拙稿の視点を高く評価してくださり、調査協力を申し出ていただいている。