著者
宇佐美 麗 田上 恭子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.107, pp.131-138, 2012-03-22

マインドフルネスとは,今ここでの経験に評価や判断を加えるのではなく能動的に注意を向けることである。これまでマインドフルネスな状態のトレーニングが抑うつの軽減に効果的であることが臨床的に示されてきたが,そのメカニズムは明らかになっていない。本研究は,マインドフルネスが抑うつに及ぼす効果にどのように自己制御過程が関わっているかエフォートフル・コントロールに着目し,マインドフルネスがエフォートフル・コントロールに正の影響を及ぼし,エフォートフル・コントロールが抑うつに負の影響を及ぼすという仮説モデルを検証することを目的とした。大学生を対象に質問紙調査を実施し,共分散構造分析を行った結果,適合度指標は十分高い値とはいえなかったが,モデルは許容範囲にあると考えられた。エフォートフル・コントールの中でも行動抑制の制御がマインドフルネスの抑うつへの効果に関連している可能性が示唆された。