著者
竹田 敏一 山本 孝夫 山本 敏久 代谷 誠治 北田 孝典 宇埜 正美
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

初年度の作業では、MA核種と金属燃料希釈材を併用した超長寿命炉心の概念を検討し、その核的な成立性が高いことを示した。また、MOX燃料ナトリウム冷却炉心と金属燃料鉛冷却炉心の、燃料形態・冷却材の違う炉心において、燃料にMAを添加して炉心計算・燃焼計算を実行し、MAの核変換率について中性子スペクトルの違いを用いて検討した。また、核変換の内訳を直接核分裂率と間接核分裂率、捕獲反応による核変換の3つの因子を用いて比較した。2年目の作業では、半理論的燃焼方程式によるMA核種の燃焼特性への影響を評価する方法を確立し、超長寿命炉心に適用した場合の最適初期装荷量について検討を行った。結論として、1)Np-237は、高中性子束においては、燃焼による出力変動に悪影響を与える。よって、低中性子束の領域で照射することが望ましい、2)ブランケットにNp-237を大量(57%,残りU-238)に装荷することによって、Puビルドアップによる出力上昇を緩和できる可能性がある、などの知見が明らかになった。最終年度では、KUCAのB架台において、金属燃料の希釈材候補である、Nb, Cr, W, Pbの各核種についてサンプル反応度の測定を実施した。いずれの核種も、適切な量を炉心中央部に装荷することにより、ペリオド法によって精度よくサンプル反応度の測定を行うことができた。この種の実験においては、サンプルの出し入れに伴う反応度のずれが大きな問題となるが、5回にわたる再現実験の結果、最初の1回を除いて再現性は非常によいことがわかった。