著者
浜田 友康 宇津野 衞 松下 智昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_827-I_831, 2017 (Released:2017-09-21)
参考文献数
5

崩壊のおそれのある斜面に近接して施設構造物を設置する際は,斜面の崩壊状況を想定し適切な離間距離を確保しておく必要がある.土砂到達距離の簡易推定法は各種指針類に示されているが,各推定法には差がある.そこで,2016年熊本地震における代表的な崩壊斜面を調査し,土砂到達距離を各種指針類の斜面高さに基づく推定法と比較するとともに,到達距離に及ぼす斜面高さ以外の影響因子について検討した. その結果,最大到達距離/最大崩壊高さは,強度の小さい火山灰・軽石層の崩壊では指針類の簡易推定法を上回る事例もあるが,岩盤崩壊では指針類の推定法に比較して小さい.また,崩壊高さに比較して崩壊土量が多い程,崩壊土の強度特性が小さい程,到達距離は大きくなることがわかった.