著者
平岡 吏佳子 宇田 勲 仲野 翔太 霜村 典宏 會見 忠則
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.196-203, 2016-11-18 (Released:2017-12-02)
参考文献数
18

植物由来乳酸菌の胃酸耐性機構を明らかにすることを目的に、植物由来胃酸耐性乳酸菌 Lactobacillus plantarum FSCM2-12、 NBRC 109604、 NBRC 101975、及び胃酸感受性乳酸菌 Lactobacillus brevis FSCT-2 を用いて、その胃酸耐性と形態学的特徴との関係を調べた。 L. plantarum FSCM2-12 の人工胃液耐性試験において、炭素源としてグルコース、フルクトースまたはスクロースを添加した培地では、平均生残率が 70% 以上であったが、グリセロールを添加した培地や炭素源を加えない培地では、著しく生残率が低下した。 L. plantarum FSCM2-12 のバイオフィルム形成は観察されなかったが、 Hiss 染色により莢膜陽性で、透過型電子顕微鏡観察でも明瞭な莢膜が観察できた。さらに、莢膜の厚さと胃酸耐性との間には顕著な正の相関が見られ、グルコース、フルクトース、スクロースを炭素源とした場合において、厚い莢膜を形成し、 70% 以上の平均生残率を示した。 L. plantarum NBRC 109604 と L. plantarum NBRC 101975 においても、 L. plantarum FSCM2-12 と同様に高い胃酸耐性と厚い莢膜が観察されたことから、厚い莢膜を形成したことが、高い生残率の要因と考えられた。