著者
金城 光 宇田 彩帆
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.125, 2011 (Released:2011-10-02)

左上方光源優位性とは、人は真上よりも左へ30度から60度に傾いた位置からの光を好み、優先的に知覚される特性である。我々は、日常生活において「光源は真上にある」と無意識に認識する上方光源の制約から、素早く奥行きを知覚することができると言われているが、特に左上方光源の場合に、より奥行きを知覚しやすいという報告がある。しかし、その詳細は明らかになっていない。本研究では、左上方光源優位性は存在するのか、また、陰影知覚の発達過程のどの段階で優位性が表れるのか検証する。本調査は4種類のテストを、幼児30名、小学生68名、大学生48名の計146名を対象として行った。そのうち、図形呈示テストでは、上方・左上方・右上方・側方を光源位置とした白黒グラデーションの複数の円の凹凸を判断させた。結果、陰影知覚における上方・左上方光源優位性は幼児にはなく、低学年から認められ、高学年は大学生とほぼ同じ成績となることがわかった。