- 著者
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北神 慎司
村山 航
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.5, 2011 (Released:2011-10-02)
自己効力感 (self-efficacy) とは,課題をやり遂げる自信のことであり,これが高いと課題への動機づけが高まり,困難な課題にも粘り強く取り組むようになることが指摘されている。これまで,自己効力感を高めるプログラムはいくつも開発されているが,いずれもコストと時間がかかることが問題として挙げられる.本研究では,課題の図と地のコントラストを操作することにより,知覚的流暢性 (perceptual fluency) を高めるだけで,自己効力感が高まり,課題への粘り強さが高まることを示した。研究1では,知能検査の課題を,低いコントラストで呈示する条件と高いコントラストで呈示する条件で比較したところ,低コントラスト条件に比べて高コントラスト条件では,課題に対する自己効力感が高いことが明らかになった。研究2では,知覚的流暢性の操作が行動に与える影響を調べるため,知能検査の課題に解決不可能課題を挿入し,どちらの条件で実験参加者が粘り強く取り組むかを比較した。その結果,高コントラスト条件の課題の方が,低コントラスト条件の課題よりも,より長く取り組まれることが明らかになった。