著者
並木 則和 宇田 貴裕 鍵 直樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.191, pp.21-27, 2013
参考文献数
3

室内における非喫煙者の受動喫煙が問題視されており,それを防止するための分煙対策がとられている。喫煙空間と非喫煙空間の境界領域において,厚生労働省のガイドラインは,喫煙室等に向かう風速(境界風速)を0.2m/s以上に保つように定めている。本研究では,飲食店を想定し,排気量が制御可能な喫煙空間および非喫煙空間からなる試験室において,店員を模したサーマルマネキンがスライド式のガラリ付き扉の設置されている両空間の境界面を通過する場合に,冷房期および暖房期において境界風速が環境たばこ煙(ETS)の動的挙動に及ぼす影響について検討した。その結果,冷房期と比べ分煙を行うことが困難である暖房期においても,扉に設けられたガラリの開口部分を全面使用し,ガラリの向きを上向きにすることにより,境界風速0.15および0.1m/sの低境界風速条件下においても一定の分煙効果を得られることが示された。