著者
金 勲 阪東 美智子 小林 健一 下ノ薗 慧 鍵 直樹 柳 宇 菊田 弘輝 林 基哉
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.88, no.806, pp.300-306, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

From the early stages of the COVID-19 outbreak, there have been many reports on cluster infections in clubs and bars. Meanwhile, there is no report on the indoor air environment in those places and it will limit measures for infection control. This study aims to understand the indoor air and ventilation environment and to propose practical and appropriate improvement measures for related industries. In addition to measuring CO2 concentration in clubs and bars in Tokyo, we have surveyed the voluntary measures taken against COVID-19, outlines of building and ventilation/air conditioning equipment, ventilation regime, and so on.
著者
柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 鎌倉 良太 杉山 順一 大澤 元毅
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.229, pp.15-22, 2016-04-05 (Released:2017-05-01)
参考文献数
19

第1報では,高齢者福祉施設内の微生物汚染実態を詳細に調査し,多数の人が集まるデイルーム内の浮遊細菌濃度と浮遊真菌濃度の1日の変動幅が2〜3桁に達しており,Staphylococcus hominis, S. epidermidis, Serratia marcescens, Corynebacterium xerosis, C.freneyi, Acinetobacter baumannii, A. calcoaceticus, Stenotrophomonas maltophiliaなど多種の日和見感染菌が低くない割合で検出された。本報では,高齢者福祉施設内の環境を詳細に把握するために,第1報と同じ調査対象における温湿度,二酸化炭素(CO2)濃度の長期間連続測定を行った。また,高齢者福祉施設の環境管理について,これまでのアンケート調査結果を検討した。本研究より,次の事柄が明らかになった。①室内温度は総じて良好であったが,室内温度が急激に低下する居室があり,窓開け換気を行う時間帯に対する配慮が必要である。②相対湿度は,1施設の食堂(KT)と居室(HF)を除いた6室が冬に向けて低下しつつあり,その中央値が12月または1月に入ってから40%を下回った高齢者福祉施設における加湿設備の充実と適正な管理が必要である。③CO2濃度については,その中央値が総じて良好であったが,全ての対象室の最大値が1000ppmを大きく上回った。多数の人が集まるデイルーム等においては換気量の確保が必要である。④環境管理については,加湿設備の充実,必要換気量の確保,および適正な換気運転が必要で,そのためにも管理体制,とりわけ設備管理技術者による適正な管理が必要である。
著者
村上 栄造 並木 則和 鍵 直樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.216, pp.37-43, 2015-03-05 (Released:2017-09-05)
被引用文献数
2

室内環境改善において、換気と空気清浄機の併用を検討することがあるが、導入にあたっては効果を事前に予測して装置選定することが望ましい。そこで、瞬時一様拡散モデルにより室内汚染物濃度を計算し、空気清浄機のワンパス除去率と室内空気の通過回数の関係から、換気量に応じた空気清浄機の導入効果を大まかに予測する線図を作成した。その結果、計画段階において空気清浄機の必要能力(清浄空気供給率、相当換気回数)を容易に算出できるようになった。
著者
金 勲 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 林 基哉 大澤 元毅 志摩 輝治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2018 (Released:2019-10-30)

普及が急速に進んでいる家庭用超音波式加湿器による室内空気の微生物汚染が懸念されることから、微生物汚染の経時変化を実験を通じて調べた。 加湿空気と加湿水中ET濃度は3日目までは緩やかな上昇を示すが、4〜5日目から指数関数的に急増し、急速な汚染が進行することが観察された。加湿器の洗浄や加湿水交換を毎日行っても細菌濃度が上昇することがあり、これはET及び浮遊細菌の測定結果から確認できた。
著者
長谷川 兼一 石山 智 大澤 元毅 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 高木 理恵
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.21, no.49, pp.1117-1120, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1 2

In order to clarify indoor climate in a crawl space after flooding, long-term experiment using a test house was performed. A second-story test house was constructed in a campus of Akita Prefectural University in 2003. In this experiment two rooms on the first floor of the test house and crawl spaces were used. Tap-water was supplied to 100mm depth on a crawl space in each room, and after 72 hours it drained. In this paper, indoor humidity and water contents of wood and concrete in a crawl space were analyzed from the view point of moisture balance in a crawl space after flooding.
著者
古橋 拓也 竹内 史朗 柳 宇 鍵 直樹 打田 昌樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成19年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1335-1338, 2007-08-24 (Released:2017-08-31)

This study aimed at investigating the behavior of airborne bacteria and aerosol when using a hand-dryer. The airborne bacteria and aerosol were measured at upper and side of the hand-dryer, and the settled bacteria were measured on the floor near the hand-dryer. The results showed that using the hand-dryer generated water droplets from the hands. Airborne bacteria upper the hand-dryer and settled bacteria on the floor mainly derived from indoor airborne bacteria, not from hands.
著者
鍵 直樹 柳 宇 池田 耕一 西村 直也 吉野 博 小畑 美知夫 齋藤 秀樹 齋藤 敬子 鎌倉 良太
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.137, pp.39-46, 2008-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究では医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とし,本報では16病院において冬期と夏期の不特定多数の人が使用する外来待合室,特定建築物と同様の形態の事務室および病室について,建築物衛生法による空気環境法定測定に準じた空気質の基礎的な実態調査を行った。結果としては,冬期における各部屋の低湿度であり,外来待合および事務室など在室者の多い場所では二酸化炭素濃度が建築物衛生法の環境衛生基準を超過していた。低湿度については加湿器の停止,加湿能力の不足,室内温度が設計温度より高く設定されていることなどが考えられ,また二酸化炭素濃度の超過については,換気能力に対して在室者数が多いためであった。適切に運用するためには,空気環境について定期的に監視することが有効であると考えられる。
著者
長谷川 兼一 坂口 淳 白石 靖幸 鍵 直樹 三田村 輝章 篠原 直秀
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,児童が何らかの健康障害を有していることが,住宅のDampnessと関連深いことに着目し, Dampnessに誘発される居住環境要因による健康リスクを明らかにすることを目的とする。ダンプビルディングの室内環境の実態を把握するために実測調査を実施し,延べ48件の調査データにより,各部湿度性状,微生物濃度, MVOC, VOCs, SVOCなどの特性を明らかにした。また,アンケート調査データを用いてダンプネスの度合いと健康影響との関連性について検討し, Dampnessの度合いが大きくなるほどアレルギー症状を複数有すること等を示した。
著者
新井 善人 白石 靖幸 長谷川 兼一 鍵 直樹 坂口 淳 篠原 直秀 三田村 輝章
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.129-132, 2014 (Released:2017-11-15)

本報では、インターネットを用いたアンケート調査結果を基に、乳児・幼児・児童を対象としてダンプネスの程度やアレルギー性疾患の有無の地域差及び関係性について分析し、健康影響について検討を行なうことを目的としている。児童のアレルギー性疾患の有無を目的変数としてロジスティック回帰分析を実施した結果、個人属性による影響は大きいものの、ダンプネスの程度が児童のアレルギー性疾患の有無に影響を与えていることが示唆された。
著者
鍵 直樹
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.350-358, 2014-08

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)における空気環境に関する建築物環境衛生管理基準の項目として,浮遊粉じん,二酸化炭素,一酸化炭素,ホルムアルデヒドがある.しかし,室内の空気汚染物質については,上記の他にも数多くある.そこで本報告では,室内空気汚染に関する問題及び研究動向について,海外のレビュー論文を元に概説すると共に,近年の研究の動向から新たに注目される今後の室内空気汚染の課題について検討を行った.1950年代からの室内汚染の変遷としては,建築材料,内装材料の変化,生活習慣の変化などから,汚染物質が減少したもの,増加したものがあること,今後は浮遊微生物やそれに関連して微生物から発生する微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)などが課題となることを示した.更に,今後の注目すべき室内空気汚染について,MVOC,微粒子及びハウスダストについて,既往の研究を元に概説した.MVOCについては,それぞれの微生物に対して発生するVOCについて紹介し,それぞれのVOCと健康影響に関する知見について示したが,未だMVOCの直接的な影響において不明な点が多いことを述べた.微粒子については,PM2.5を中心にその室内発生源と,PM2.5濃度の特徴について述べた.室内の発生源については,燃焼によるものの他に,化学物質の二次生成やレーザープリンタからの超微粒子の発生などについても示し,室内濃度の傾向としては,建築物の空調機に装着されているエアフィルタの重要性について示唆した.最後に,ハウスダストの問題として,ハウスダストに吸着する準揮発性有機化合物(SVOC)と健康影響,ハウスダスト中に含有するSVOC濃度の現状について示し,今後のデータの蓄積により,SVOCと症状との因果関係についての議論の期待について述べた.
著者
鍵 直樹 海塩 渉
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和3年度大会(福島)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.73-76, 2021 (Released:2022-11-02)

従来からの換気性能評価として,完全混合を想定した換気回数や空間に対して不均一な濃度分布を考慮した換気効率評価指標が存在する。また,室内を清浄に保つために可搬型の空気清浄機(AP)を設置する場合も多く,新型コロナウイルス感染症対策として換気が不足する場合にも空気清浄機の併用が有効と示されている。本研究では,室内から発生する汚染物質を対象に,換気効率評価手法を用いて,換気設備と空気清浄機を併用した場合の粒子状物質の除去を評価することを目的とする。
著者
村上 栄造 並木 則和 鍵 直樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2014 (Released:2017-11-15)

室内環境改善において、換気と空気清浄機の併用を検討することがあるが、導入にあたってはその効果を事前に予測して装置選定する必要である。そこで、空気清浄機のワンパス除去性能と室内空気の通気回数の関係から、換気下(機械換気、自然換気)における空気清浄機の導入効果を大まかに予測する線図を作成した。その結果、計画段階において空気清浄機の台数や処理能力(清浄空気供給率、相当換気回数)を容易に算出できるようになった。
著者
林 基哉 金 勲 開原 典子 小林 健一 鍵 直樹 柳 宇 東 賢一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.84, no.765, pp.1011-1018, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

The state of the increase in the nonconformity rates of air environment in specific buildings was investigated using local government survey reports. The factors in the increase of carbon dioxide concentration were analyzed in consideration of the increase of ambient concentration, the characteristics of indoor concentrations and the characteristics of the government reports. The results were as follows. 1 The nonconformity rates of humidity, temperature and carbon dioxide concentration have increased with the number of specific buildings since 1999. And reports made by the owners of specific buildings are substituted for inspections by government officials in most prefectures. 2 One of the factors in the increase of nonconformity rates of temperature, humidity and carbon dioxide concentration is the increase of reports using measurement data by building maintenance suppliers. The nonconformity rates of humidity and carbon dioxide concentration were higher in northern prefectures. 3 The frequency of indoor carbon dioxide concentration in specific buildings in Tokyo was similar to that in Osaka. The frequency distribution of the differences between indoor concentration and outdoor concentration in Tokyo follows Weibull frequency distribution. 4 The ambient concentration of carbon dioxide has increased especially in urban areas. The increase of ambient concentration is thought to increase the indoor concentrations in specific buildings. 5 The nonconformity rates of carbon dioxide concentration depend on not only ambient concentration but also the rates of ventilation reduction and survey methods by governments. The nonconformity rates were calculated using an equation composed on the basis of Weibull frequency. The coefficients of these factors were calculated using the equation and the survey data on all Japan. 6 The increase of ambient concentration made the nonconformity rate of indoor concentration 3.1% higher and ventilation reduction made it 7.2% higher and the change of survey method made it 11.6% higher in these nineteen years. These results showed that the increase of nonconformity rates depends on several factors. Therefore it is necessary to design integrated countermeasures in order to decrease these nonconformity rates.
著者
鍵 直樹 柳 宇 東 賢一 金 勲 大澤 元毅
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.101-104, 2015 (Released:2017-11-15)

建築物における基準値との適合状況については,全国の情報が毎年公開されている。そこで本研究では,公表された全国の建築物の維持管理に関するデータを用いて,基準値に適合しなかった建物の割合,不適率の最新動向の解析を行うことにより,建築物における環境衛生の実態について把握することを目的とする。以前にも同様の調査を行っているが2),平成23年の東日本大震災以降のデータを加えた。更には,東京都における立ち入り測定のデータを用いた室内空気環境の詳細な解析を行った。
著者
金 勲 小林 健一 開原 典子 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 中野 淳太 李 時桓 林 基哉
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和2年度大会(オンライン)学術講演論文集 第8巻 性能検証・実態調査 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.293-296, 2020 (Released:2021-10-28)

特定建築物及び中小規模建築24件を対象に、2019年度の冷暖房期に行った温度・湿度・CO2の2週間の連続測定からCO2濃度に関する結果を報告する。平均値としては1000ppmを超える建物は2割程度であったが、1回でも1000ppmを超える割合はほぼ7割あった。また、昨年度とは異なり期間中ずっと1000ppmを下回らない、3000ppmを超える高濃度を示すなど、著しく悪い環境にある物件はなかった。
著者
柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 金 勲 志摩 輝治 大澤 元毅
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成28年度大会(鹿児島)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2016 (Released:2017-10-31)

省エネと室内空気質の両立の視点から採用されているCO2濃度検知による換気量制御の実態に関する調査を行い,空調方式別の室内CO2濃度の実態解明を図ると同時に,その換気量制御のあり方について考察を行った。 (1)オフィスビルの一人当たりの気積が大きいことにより室内CO2濃度は定常濃度にならず,執務時間帯では常に低く抑えられている。 (2)室内CO2濃度の瞬時値ではなく,その平均値を関連基準値以下に制御することで室内空気質の確保と省エネの両立が図られる。
著者
達 晃一 篠原 直秀 金 勲 鍵 直樹 坂口 淳 飯田 明由 山内 康 安原 幸生 坪倉 誠 内藤 航
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1013-1020, 2021 (Released:2021-08-16)
参考文献数
10

本研究では、① ウイルスの感染対策を講じる上で必要な現象(換気や飛沫・飛沫核の挙動や表面汚染など)について、実測・実験室実験・シミュレーションを組み合わせて明らかにすること、② 場ごとの経路別リスク評価を行い、場ごとに対策によるリスク低減効果を推定すること、③ 飛沫核に対する対策技術の開発を行うことを目的とする.今回の報告では、①路線バスの換気実態調査結果および③エアロゾルフィルタ(本研究では粒子捕集のフィルタをエアロゾルフィルタと呼ぶこととする)の効果について報告する.
著者
並木 則和 宇田 貴裕 鍵 直樹
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.191, pp.21-27, 2013
参考文献数
3

室内における非喫煙者の受動喫煙が問題視されており,それを防止するための分煙対策がとられている。喫煙空間と非喫煙空間の境界領域において,厚生労働省のガイドラインは,喫煙室等に向かう風速(境界風速)を0.2m/s以上に保つように定めている。本研究では,飲食店を想定し,排気量が制御可能な喫煙空間および非喫煙空間からなる試験室において,店員を模したサーマルマネキンがスライド式のガラリ付き扉の設置されている両空間の境界面を通過する場合に,冷房期および暖房期において境界風速が環境たばこ煙(ETS)の動的挙動に及ぼす影響について検討した。その結果,冷房期と比べ分煙を行うことが困難である暖房期においても,扉に設けられたガラリの開口部分を全面使用し,ガラリの向きを上向きにすることにより,境界風速0.15および0.1m/sの低境界風速条件下においても一定の分煙効果を得られることが示された。