著者
宇都宮 すみ 小岡 亜希子 陶山 啓子
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.393-402, 2019-01-20 (Released:2020-01-20)
参考文献数
18

本研究の目的は,要支援高齢者の社会活動の実態を把握し,社会活動に影響を及ぼす要因を明らかにすることである.対象は,中核市にあるA地域包括支援センターが担当する地区に居住し,要支援の認定を受けた65歳以上の高齢者のうち,施設入所者を除く788人である.調査内容は,社会活動とそれに影響を及ぼすと考えられる個人的要因,身体的要因,社会的要因とし,無記名自記式質問紙にて調査した.有効回答は411人で,重回帰分析にて社会活動に関連する要因を確認した.その結果,要支援高齢者の社会活動は,地域・近所との交流が多く,関連する要因は,老研式活動能力指標,認定区分,ソーシャルサポートの提供,非家族支援ネットワーク,公共交通機関の利用の5項目であった.要支援高齢者の社会活動を促進するためには,身体機能を維持することに加えて,地域での友人・知人とのつながりやサポートを提供できる役割を支援する必要性が示唆された.