著者
宇野 研一・高野 研一 高野 研一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.115-122, 2014

<p>最近,化学産業の重大事故が続いており,業界をあげてその対策に取り組んでいるが,これらの事故の調査報告書には,直接原因に対する再発防止対策のみならず,その背景にある安全文化面の原因を追究し,安全文化醸成のための対策まで検討されている.これらの原因を安全工学会の保安力向上センターが進める安全文化診断の各要素に分類したところ,「積極関与」と「学習伝承」に分類されるものが多く見られたが,一方で,要素間にまたがるものも多く,要素間に重なりがあるためと考えられた.そこで,新たにシステムシンキングの考え方を導入し,各要素間の因果関係を考慮した因果ループを提案した.安全文化面の原因がどの要素と関連しているかを因果関係に基づくループとして認識でき,上流の要素に遡って原因検討を深めるとともに,ループ間の関係をもとに安全文化全体を視野に入れた検討が可能となる.</p>
著者
宇野 研一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.109-114, 2015

1984 年のボパールの大災害を契機に設立されたCenter for Chemical Process Safety( CCPS)は,米国はじめ世界の化学産業のプロセス安全の向上を目的として各種の大会や教育プログラム,そして100 冊以上にも上る各種ガイドラインの発行を行ってきている.ここでは,まず,それらの活動の概要と,その原動力となっている組織運営の在り方についてまとめる.特に,その中核であるプロセス安全管理システムについては,安全工学会が推進する保安力の取り組みと比較検討する.CCPS のこれらの取り組みを踏まえて,我が国の化学産業の保安力に対する全般的なフィードバックについて考察した.