著者
榊原 正義 桂林 浩 鈴木 敏克 守屋 康正
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.83, pp.75-80, 1991-09-24

多くの情報をボトムアップに整理し、構造化する手法であるKJ法を利用してグループによる情報整理を支援するために、同期会議支援システムICE90の一つのアプリケーションとして、電子KJ法システムを構築した。電子KJ法システムは、各参加者が個人作業空間として使用するワークステションを通してKJカードの作成や移動等の操作を並行して実行できることを特徴としている。紙を使った従来のKJ法と比較すると、試行錯誤を行いながらのグループ編成や、グループ単位でのカードの操作が容易に行えるようになることが確認された。For the purpose of supporting groupwork to organize information, the authors developed ICE90: a face-to-face meeting support system. It has KJ-Method support function as one of its applications. The KJ-Method support function on ICE90 enables participants to create and operate KJ cards at the common workspace in parallel through each workstation for individual use. In comparison with the conventional KJ-Method with paper, it is easier to group KJ cards by trial and error, and to operate multiple cards in a group with ICE90.
著者
桂林 浩 鈴木 敏克 榊原 正義 守屋 康正
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.83, pp.63-38, 1991-09-24

オフィスでの作業は共通の目的を達成するための会議などの共同作業が中心であるが、ワークステーションによる支援は個人作業が中心である。そこで、ワークステーションによる会議の支援を考えた。まず個人作業用ワークステーションの応用可能性を検討し、次に会議支援特有の機能を実現した会議システム(E)を構築した。さらに、オフィスで行われている会議を3つのタイプに分類し、本システムにおける各タイプに対するワークステーションの利用可能性を検討した。その結果、会議タイプにより改良方法は異なるが、ワークステーションを使って支援できることを確認した。Cooperative work to achieve the shared target is the nucleus of office works, however personal work support is the major objective of many computer-supported systems. Therefore, the establishment of computer-supported meeting system is considered. We investigate the potentialities to use workstations at meetings, before making a system which includes special functions for the meetings. We classify meeting types into three, and investigate the applications of this system to support each meeting type. Consequently, the workstations indicate the potentialities to support meetings, though it requires some improvement according to meeting types.
著者
守屋 康正
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜経営研究 (ISSN:03891712)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.357-373, 2004-03

1970年代前半,ラジカセやポケット電卓が市場にでまわり,電子機器のポータブル化が浸透を始めていた.当時急速な進化を遂げつつある半導体技術の賜物であり,その中核は情報技術を劇的に進化させるマイクロプロセッサである.マイクロプロセッサはまさに産業の米ともいえる存在で,それまで空調設備の備わった快適な部屋に鎮座していたメインフレームの存在を脅かし,一方では人の目に触れずに電化製品や産業機器の中へと浸透を開始した.しかしながら,人々が今日のように携帯電話を持ち歩き,ワイヤレスでかつてのメインフレームの何万倍もの処理速度をもつパソコンを利用する姿を,当時誰が想像できたであろうか.いつの世にも将来の予測は極めて難易度が高い.バトラー・ランプソン,チャック・サッカー,ボブ・メトカルフ,アラン・ケイをはじめとするゼロックスPARCの著名な研究者たちは,30年以上も前に今日の情報化社会を展望し,自らの夢の実現に向けた研究成果としての技術的な礎を築いた.これらが技術の進化の過程であるとするならば,米国西海岸のシリコンバレー型モデルとでもいうべき新しい産業構造の興隆が,情報技術の進化にもたらした影響も計り知れない.シリコンバレー型モデルとは,半導体,コンピュータ本体,周辺機器,OS,アプリケーションソフトウエア,ネットワーク基盤,ネットワーク機器,ネットワーク管理ソフトウエア,各種サービスプロバイダなど,コンピュータやネットワークのアーキテクチャを構成するベンチャー企業の固有技術を統合するマルチベンダ型の事業モデルをさす.すなわち,メインフレーマとその傘下の企業が提供するクローズドなシングルベンダシステムの対極である.このシリコンバレー型モデルに参加する企業群は,デファクトスタンダードに沿ったオープンシステムの一翼を担うだけではなく,各層内での競争と協調を繰り返しながら,情報技術の進化を加速した.インターネットを中心とした情報技術分野では,市場受容への適合の力学が存在する.すなわち,優れた技術が市場に適合するとは限らず,市場内の顧客数の閾値,判りやすい商品技術の訴求力,あるいは市場操作能力が適合の条件となる場合が多い.インターネットが商用公開された当時には,多くのプレーヤーがポータルポジションの獲得のためのワンストップ化にしのぎを削り,外部の技術とコンテンッを呑み込んで質量を高めるブラックホールさながらの様相を呈していた.ユビキタスな社会環境が浸透し始めた今日ではこのようなココンペティションの激しさが増している.本書では,このようなユビキタスの技術と事業の相関と競争原理の考察に関する報告である.