著者
安倍 素子
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅学園研究紀要編集委員会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.A1-A14, 2018-07-21

平安時代の作品『うつほ物語』には物語本文に「絵解」とよばれる本文が混在している。このため、この作品は絵と深い関係にあったとされる。江戸時代延宝五年(1677)、全巻に挿絵が入った版本が刊行された。この挿絵が、従来の「絵解」とよばれる本文の影響を受けて制作されたものかどうかを検討した。その結果、約4分の1の絵が「絵解」とよばれる本文に関係づけられた。「絵」の制作者が「絵解」に注目した可能性は高い。
著者
安倍 素子
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅学園研究紀要編集委員会
雑誌
尚絅学園研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.A1-16, 2010

『うつほ物語』の絵入り本には、冒頭の巻「俊蔭」だけの奈良絵本10本と万治版、全20巻の延宝版がある。延宝版の「絵」には他の本との類似性がない。延宝版の中に「絵入源氏」の「絵」に類似しているものがあるという指摘があり、延宝版の121図と承応版「絵入源氏」の226図すべてについて照合した。その結果、延宝版121図のうち64図に「絵入源氏」との類似が認められた。延宝版が「絵入源氏」の影響のもとに製作されたことは確実である。