著者
衣笠 和洋 安岡 俊介 松田 恒則 西山 範正
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1825-1828, 1998-07-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

症例は37歳の男性で主訴は心悸亢進.検診で頻脈を指摘され近医を受診,食道裂孔ヘルニアおよび発作性上室性頻拍と診断され,当院に紹介入院となった.胸部単純X線像で後縦隔に鏡面像を形成するガス像を認めた.上部消化管造影にて,いわゆるupside down stomachを呈する食道裂孔ヘルニアと診断された.種々の抗不整脈薬の投与にもかかわらず,発作性上室性頻拍による心悸亢進が改善されなかったため,開腹手術を施行した.手術は食道裂孔を縫縮し,さらに胃食道逆流防止のためNissen fundoplicationを追加した.術後経過は良好で,術後5年の現在ヘルニアの再発はなく,発作性上室性頻拍も認められない.