著者
高守 正治 岩佐 和夫 駒井 清暢 安川 善博
出版者
医学書院
雑誌
Brain and Nerve 脳と神経 (ISSN:00068969)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1089-1100, 1997-12-01

I.節前性カルシウムチャンネルとLambert-Eaton筋無力症候群 1.疾患の概念 Lambert-Eaton筋無力症候群は,悪性腫瘍に合併あるいは腫瘍の発症に先行して遠隔・非転移性に発病する頻度の高い,傍腫瘍性神経症候群の一つである。骨格筋を支配する末梢神経終末の電位依存性Ca2+チャンネル(VGCC)機能を阻害する抗体が主役を演じ,神経からのアセチルコリン(ACh)遊離障害の結果,筋無力症状が惹起される。近年,腫瘍組織と神経終末の両面で,病的抗原決定基となるチャンネルとその周辺機構の分子病態が明らかにされつつある。