著者
萩原 克宣 数井 美穂 栗原 厚 安東 治 泉 高司 池田 敏彦
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.454-464, 2015-11-25 (Released:2016-02-25)
参考文献数
30

プロントジルからサルファ剤が見つかったように、初期のプロドラッグは偶然発見されたものが多い。近年のプロドラッグ開発では、たとえば難吸収性薬物の脂溶性をあげることで消化管吸収率を改善し、酵素の働きでもとの薬物に戻して薬効を発揮させることが意図的に実施された。これは、エステラーゼなど、活性化酵素の特性が十分に解明されてきたからであるといえる。しかしながら、活性本体の化学構造および活性化メカニズムが不明な場合には、プロドラッグ開発においてこの方法を踏襲することはできない。チエノピリジン系抗血小板薬はその1例であり、臨床試験が先行し、後に活性体の構造が明らかとなった。本稿では、チエノピリジン系薬剤の臨床成績にインパクトを及ぼした代謝活性化メカニズムの違いについて紹介する。