著者
高木 達也 安永 照雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

非線形要因解析を行うため、従来の誤差逆伝播型ニューラルネットワークとは異なり、Ojaらが提案したHebbian学習型ニューラルネットワークを改良して、効果的な独立成分解析法のアルゴリズムを開発、プログラム化した。アルゴリズムはおおよそ以下のようである.まず、学習は、基本的にはOjaらの方法に従ったが、ただ1個の動作関数を用いたOjaらの方法とは異なり、複数(p個)の動作関数を用いたため、下式、 W_p(t+1)=W_p(t)+εxf_p(x(t)^tW_p(t))diag(sign(c_<pi>(t))) に従って、行った。ここで、εは学習率、tは学習回数であり、分散が最大となるとき(t=t^*)のωを採用することにより、分散が最大になる方向への学習が効率的に行われる。アルゴリズムをまとめると以下のようになる。(1)元のデータに対してPCAを行って得られた主成分得点行列、あるいは、成分行列を入力データとする。(2)データの標準化を行う。(3)更新式に従い、wの値を計算し、ノルムを1にするために、w(t)=W(t)/||w(t)||とおきかえる。(4)式に従って、cの値を計算する。(5)動作関数pを用いてt回学習を行ったときのc_iとc_jの符号が異なっていた割合の、全ての動作関数の割合に対する比率をr_pとし、主成分得点を計算する。(6)z_iの分散を計算し、分散最大となるt^*を求める。(7)収束するまで(3)〜(6)を繰り返す。作成されたプログラムにより、押収覚せい剤の不純物のGC-MSデータによるProfiling Analysisを行った。PCA, CATPCA, MDS, SOM、5層砂時計型ニューラルネットワークの結果と比較したところ、今回のHEPネットの結果が、国内で4つの手法で合成された既知データとの比較の結果、最も適切な結果を与えることが見出された。他の方法では、既知データが4つに分類されなかったのに対し、HEPでは座標上に適切な位置を与えることが示された。これらのことより、HEPネットが、要因解析法として適切な結果を与えることが示された。