著者
安田 勲
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.7, 1955-09

1.実験に供した材料はミモザ(Mimosa sp.),アカシヤ(Acacia dealbata)及びアスター(Aster=Callistephus)の種子で,ミモザは輸入種子,アカシヤ及びアスター種子の一部は自家採種の新種子である. 2.発芽試験の方法はシャーレに濾紙を敷き,ミモザとアカシヤはそのまま,アスターは800倍のウスプルン溶液に約20分浸漬した後,実験に供した. 3.ミモザ及びアカシヤの種子はそのまま播いた場合は発芽率頗る低く始んど実用にならぬが,種子の先端を切るとか,種皮に傷を付けると100%近く発芽する.然し,ホウセンカ(Impatiens Balamina)の如く腐葉土に播いても殆んど発芽せぬ所から考えて不発芽の原因は種皮の硬さにあるようである.種子の剛度は殆んどイネの玄米に等しい. 4.ミモザの種子を硫酸(98%)や濃い苛性ソーダ液に浸した場合,割合効果のあつたのは30分浸漬区で,これより浸漬時間が短くとも,1時間に延しても効果は現われなかつた. 5.アスターを秋播して開花した株の種子を採播するとよく発芽(70~88%)する所から見て,アスターの採播は可能である。
著者
安田 勲 安井 公一
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.25, pp.25-29, 1965-03

これまでの実験で朝顔の開花に人工光線の波長の差がかなりの影響があることが分ったので,今回は赤,黄,青及びそれらの組合せがどんな影響を与えるかを知ろうとして3色のカラード螢光灯(20w)を終夜照明し,開花現象を完開,半開及び不開の3段階に区別してその結果を報告する.また,朝顔の開花にはごく弱光の前夜照明でも影響のあることが知られているので,電灯からの距離を変えることによってどのくらいの距離まで離せば光の影響を受けなくなるのか,その限界を知ろうとして電灯は2cp.5w,10w.の3種,距離は0.5~3mの2~6段階にして実験を行なったので,その結果をも報告する.(1)赤色灯は完開を抑えて半開または不開花を増し,青色灯はほとんど完開花のみを生じた.黄色灯は赤と青との中間的の影響力を示した.(2)同じ色の電灯が重複すると,赤と黄の電灯は完開花を皆無にし,青の電灯は若干の完開を生じた.(3)赤+黄や赤+青のように赤色光が他の色に加わると完開はなくなり,不開花を多くする.青+黄のように赤が加わらない場合はわづかながら完開花を生じ,不開花が減っただけ半開を多くする.(4)赤+黄+青になると,完開は皆無となり半開花をかなり多く生じた.(5)青は開花に一番影響を与えない光であるが,重複の場合はかなり完開をわるくする.その程度は赤の単独よりは影響が少なかった.(6)電照により開花にほとんど影響を与えなかった距離の限度は室内と戸外とで異なり,室内実験では2cp.なら1~3m,5wで3mであり,戸外実験では2cp.で3~0.75m,5wで3~1m,10wでは3mであった。