著者
安田 勳 横山 二郎
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.13, 1959-03

ダリヤを短日処理することによつて開花の状態,地上部の生育,特に地下部(球根)の生育が如何なる影響を受けるかを知ろうとして,1958年の春から夏にかけて実験を行つた.実験に用いた品種は中輪デコラチーブ咲の"花笠"という切花用のもので,短日処理の設計は次のようであつた.7時間日長区午前10時より午後5時まで浴光10時間日長区午前7時より午後5時まで浴光13時間日長区午前6時より午後7時まで浴光標準区自然日照のまま1区当りの球根数は12個,1球の重量は平均して100gのものを用いた.定植は4月15日で,遮光期間は6月1日より7月31日の2ヵ月とした.9月1日に圃場の全球根を掘上げ,9月6日より調査を行つた結果は次の通りであつた.1.9月1日までの総開花数は13時間区が最大で7時間区が最も少なかつたが,草丈と節数は各区とも大差がない.2.掘上げた根の重さの平均は10時間区,7時間区,標準区,13時間区の順に小さくなるが,球根が地上部の風乾重に対する比率では10時間と7時間の両区がはるかに大きく,13時間及び標準区は小さい.3.球根とならなかつた繊維根の数量及び重量は日照時間の少ない区ほど少なく,日照時間ののびるに従つて大となる.4.新球根の数は日長処理の時間数と特別関係はないようである.これは何か他の原因によるのではなかろうか。