著者
原田 敬子 平田 純生 奥平 由子 閑田 なるみ 山澤 紀子 山本 員久 東 治人 安田 英煥 小野 秀太
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.213-217, 2005-03-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

H2拮抗薬ラフチジンによると思われる幻覚・幻視, 異常発言などの精神神経症状がみられた血液透析患者2症例を経験した. 症例1は64歳男性, ラフチジン20mg/日を10日間投与した後, 幻覚・幻視を訴えた. 症例2は55歳男性, ラフチジン20mg/日開始後6か月目より幻覚症状が発現し, その際の血漿ラフチジン濃度は918.8ng/mL (透析前) であり, それは腎機能正常者に同量投与した時の平均ピーク濃度の4.5倍であった. 2症例ともラフチジン投与中止後精神症状が速やかに消失したことから本剤の中毒症状であると考えられた. ラフチジン錠は尿中未変化体排泄率は10.9%であるもののバイオアベイラビリティが不明である. そのため腎機能に応じた投与設計は容易ではなく, 透析患者に対しては他の腎排泄型H2拮抗薬と同様に慎重に投与する必要があると思われた.