著者
村上 洋 瀬古 亜紀子 安積 真澄 上嶋 夏子 吉栖 肇 中野 博文 北畑 寿美雄
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.117-120, 2003
被引用文献数
4 36

ラクトビオン酸(LA)はラクトースから合成されるアルドビオン酸で,ビフィズス菌増殖活性をもち,溶解性の高いミネラル補給剤として利用可能であるなど,用途に富んだ糖質素材である.しかし,現在までは,実用に耐える大量生産方法がなく,日本では化学合成法により試薬として少量市販されているのみであった.筆者らは,ラクトビオン酸の安価な大量生産方法の開発をめざし,Burkholderia cepaciaの1菌株を用いた発酵生産条件を検討した.その結果,回分培養では,4日間の培養により,2009/Lのラクトビオン酸が生成した.また乳糖と炭酸カルシウムの逐次添加を行う流加培養では,10日間の培養により,培養液中に4009/Lのラクトビオン酸を蓄積した.いずれの場合も,原料の加水分解や副生成物の生成を伴わず,収率は100%であった.得られた発酵培養液上清にエタノールを加えエタノール濃度75%とすることで,純度100%のLAが収率98%で得られた.