著者
白坂 憲章 高崎 竜史 吉栖 肇
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.495-498, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
4
被引用文献数
4 5

梅加工品中に含まれる抗酸化・抗変異原活性を有する機能性成分として梅果実成分リオニレシノールの含量を検討し, 以下のような結果を得た.市販の調味梅干のリオニレシノール含量は製品の塩分濃度が低い製品ほどリオニレシノールの含量およびラジカル消去能が低い傾向がみられ, 調味工程における脱塩操作における流出が主たる原因と考えられた.調味梅干製造の漬け込み工程において, 調味液が果肉に浸透する調味の初期においては, 果肉からのリオニレシノールの溶出とその含量の減少に伴うと考えられるラジカル消去能の低下が認められたが, 調味液が浸透する2週目以降においては, リオニレシノール含量, ラジカル消去能共に増加が認められ, 浸透圧による種からのリオニレシノールの再移行が生じたと考えられた.以上の結果より, 調味液に添加が不可能なリオニレシノールなどの機能性成分の調味行程における低下を防ぎ, 有用成分を多く含む調味梅干を製造するには, 塩濃度を低下させるための過剰な脱塩を避け, 十分な浸透圧を持つ調味液を用いて十分な時間をかけて調味を行うことが必要と考えられた.
著者
白坂 憲章 高崎 竜史 吉栖 肇
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.495-498, 2005
被引用文献数
2 5

梅加工品中に含まれる抗酸化・抗変異原活性を有する機能性成分として梅果実成分リオニレシノールの含量を検討し, 以下のような結果を得た.<br>市販の調味梅干のリオニレシノール含量は製品の塩分濃度が低い製品ほどリオニレシノールの含量およびラジカル消去能が低い傾向がみられ, 調味工程における脱塩操作における流出が主たる原因と考えられた.<br>調味梅干製造の漬け込み工程において, 調味液が果肉に浸透する調味の初期においては, 果肉からのリオニレシノールの溶出とその含量の減少に伴うと考えられるラジカル消去能の低下が認められたが, 調味液が浸透する2週目以降においては, リオニレシノール含量, ラジカル消去能共に増加が認められ, 浸透圧による種からのリオニレシノールの再移行が生じたと考えられた.<br>以上の結果より, 調味液に添加が不可能なリオニレシノールなどの機能性成分の調味行程における低下を防ぎ, 有用成分を多く含む調味梅干を製造するには, 塩濃度を低下させるための過剰な脱塩を避け, 十分な浸透圧を持つ調味液を用いて十分な時間をかけて調味を行うことが必要と考えられた.
著者
村上 洋 瀬古 亜紀子 安積 真澄 上嶋 夏子 吉栖 肇 中野 博文 北畑 寿美雄
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.117-120, 2003
被引用文献数
4 36

ラクトビオン酸(LA)はラクトースから合成されるアルドビオン酸で,ビフィズス菌増殖活性をもち,溶解性の高いミネラル補給剤として利用可能であるなど,用途に富んだ糖質素材である.しかし,現在までは,実用に耐える大量生産方法がなく,日本では化学合成法により試薬として少量市販されているのみであった.筆者らは,ラクトビオン酸の安価な大量生産方法の開発をめざし,Burkholderia cepaciaの1菌株を用いた発酵生産条件を検討した.その結果,回分培養では,4日間の培養により,2009/Lのラクトビオン酸が生成した.また乳糖と炭酸カルシウムの逐次添加を行う流加培養では,10日間の培養により,培養液中に4009/Lのラクトビオン酸を蓄積した.いずれの場合も,原料の加水分解や副生成物の生成を伴わず,収率は100%であった.得られた発酵培養液上清にエタノールを加えエタノール濃度75%とすることで,純度100%のLAが収率98%で得られた.